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眞野輝彦コラム

2010.05.06 「デフレ下の企業体質改善」

―借金の圧縮−

 4月30日に発表された日銀の経済・物価情勢の展望では2011年度の消費者物価上昇率がマイナスを脱するとの見通しが示された。しかし、プラスと言っても、日銀政策委員見通しの中央値は、対前年度比+0.1%であり、他方、日本の土地・住居など資産価格を含めた価格水準が、国際比較ではまだまだ高いこと、加えて失業率の低下や賃金・給与の引き上げが期待できない現状では、物価の下落はそう簡単には終わらないとの用心が肝要と思われる。ついては、前回の物価下落時代の家計の資産運用の注意点に続き、デフレ下での企業体質改善の課題を考えてみたい。
 最も重要なことは右肩上がりの時代に培われた他人資本、即ち借入金依存体質からのバランス・シート改革である。物価の上昇は借入金コストをカバーし、時にお釣りがきたのだが、物価下落はコストを逆に増加させる危険性がある。前回は、物価が下落する状況での家計の金利ゼロの預金運用が、結果として、Low Risk、High Returnに繋ることを指摘した。
 しかし、企業は自己資本をゼロ預金で運用することはできない。企業の存在意義を問われるからである。デフレ下のバランス・シート改造の選択肢は、他人資本の圧縮、即ち借金返済と言うことになる。わが国のデフレ・ギャップが、需要不足もさることながら、供給過剰の側面が強い状況では尚更のことである。価格を下げてでも輸出せざるを得ないのが何よりの証左である。ここに金利政策の限界がある。
 BRICsの追い上げが激しい中で、高付加価値産業への構造改革が不可欠なことは明らかである。しかし、デフレ下では、カネの借り手も貸し手も慎重になる傾向がある。財政政策と金利政策が限界に達する中で、中央銀行は、金融機関の資産を買い取るなどの質的緩和を実施すること、また、金融当局は、貸付金のリスク掛け目を引き下げるなど金融機関の自己資本比率悪化への対策を考えるべき時ではなかろうか。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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