眞野輝彦コラム
2010.05.21 「iPad人気と影響」
―ITとICTの差―
4月3日に米国で発売され、日本でも5月28日発売予定の「iPad」の人気が高いようである。スマート・フォンとネット・ブック(小型コンピューター)の中間に位置する情報通信機器だが、人気の背景、その影響、注意事項などを整理しておきたい。
第一は、タッチ・パネル方式を採用し、電子書籍やネット閲覧などができることである。携帯電話に比べ画面が格段に大きいため、高齢者にも見やすく、キーボード入力に不慣れな人達にも使い勝手がよいのである。
第二は、地球温暖化問題が、この種の機器活用の流れを加速させていることである。直接競合する携帯電話やコンピューターの関連業界との競争激化のみならず、新聞、雑誌業界への影響が大きい。古紙のリサイクルが進んでいるとは言え、新聞・雑誌などは日時の経過とともにゴミ処理が必要となる。しかし「iPad」の普及で紙の原料となる森林伐採やゴミ焼却問題などが縮小できることになる。
第三は、この種の機器の利用で、印刷物に必然的に伴う、締め切り時間の壁が無くなることである。国際情勢の変化が極めて速い環境のなかで、コンピューター操作の知識がなくとも、24時間地球の反対側のニュースをも知ることができる。締め切りに縛られる出版物がニュース伝達の速さでは対抗できなくなることは明らかであり、新聞・雑誌関連業界は前向きな対応を迫られることになる。
第四は、地価が高く、他の先進国のみならず一部の途上国に比べても手狭な日本の住居の空間を広く使えることである。本棚などのスペースが不要になるからである。
第五は、これが最も重要なことだが、この種商品の生産が得意なはずのわが国が、この分野で遅れをとっていることである。原因は情報と通信技術との融合に日本特有の壁があることである。縦割行政も一因であろう。
わが国ではIT産業、IT関連産業ともてはやされてきたが、この機会にITと通信技術が融合したICTとの差を再確認し、利用者の利便性を最優先に、総務省のICT(情報通信技術)作業部会の論議が進展することを期待したい。
(注)
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