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眞野輝彦コラム

2010.07.01 「トロントG20の限界」

―菅内閣の財政運営戦略―

 リーマン・ショックから立ち直りつつあった世界経済にギリシャ国債問題の悪影響が懸念される中で、G20が6月26〜27日トロントで開催された。
 G20宣言には、先進国は、財政赤字を2013年までに半減させる目標を掲げられたものの、途上国の役割や各国協調の具体的な対応策は示されず、その対応は各国に委ねられた。宣言文では「各国の状況に即して差別化された、信頼に足る、適切な段階を設けた、かつ成長に配慮した財政健全化計画の必要性」(G20トロント・サミット宣言文 外務省仮訳より)が強調されたのである。このことは各国が固有の財政赤字を抱え、他国への協力どころではない状態であることの反映であり、財政赤字問題に対するG20の限界を示しているとも言えよう。
 先進国のなかで最大の財政赤字を抱える日本はG20に先立つ6月22日の閣議で「財政運営戦略」が決定され、G20でも了承された。日本の「財政運営戦略」は、2015年までに基礎的財政収支(プライマリー・バランス)のGDP比率赤字幅を2010年度水準から半減させ、遅くとも2020年度までに黒字化することが目標である。2010年度の財政赤字は40兆円を超えており、他の先進国と同じ2013年までに半減させるためには、3年間で20兆円以上の削減が必要になるのである。
 菅総理は強い経済、強い財政、強い社会保障の同時達成は可能としているが、「財政運営戦略」に掲げられた目標をどの様な手法で実現するかは必ずしも明確ではない。初めての外交日程後の総理の最優先課題は目標達成の具体的政策を示すことである。消費税関連発言で支持率の低下が伝えられている。その前に歳出削減が必要ではないかとの選挙民の素直な反応であろう。ギリシャ問題は財政収支の不明瞭性に対する市場の反応が切っ掛けであった。わが国には複数の特別会計が存在しており、第二の予算と呼ばれたことがあった。国民の支持を得た事業仕分けを特別会計などに拡大して行くことが、わが国の公的債務残高の問題と菅内閣への信任維持に極めて有効と思料する。

(注)

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