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眞野輝彦コラム

2010.08.02 「経済共同体の自己完結性」

―域内超過供給の域内吸収が不可欠―

 東アジア地域の各国は、リーマン・ショックからの立ち直りも早く、経済成長率も高い。域内の貿易比率が上昇し、政治要素はともかく、ASEAN+3による東アジア共同体の基礎が出来つつあるとの認識が強まっている。しかし、一つの地域が、域外に依存することなく、共同体として持続するためには、域内の自己完結性が不可欠と考える。日中韓の+3ヶ国は、何れも貿易収支黒字国であり、ASEAN主要国についても、フィリピンとベトナムを除き貿易黒字国である。この黒字を吸収する需要を米国中心に東アジア地域外に依存しているのが実情であり、東アジア各国の超過供給を吸収できる国が同じ地域内にはないのである。
 ここに世界最大の純債権国である日本の役割と責務がある。中国は最大の外貨準備保有国ではあるが、同時に巨大な対外債務を抱えている。現状では資本取引などの規制も多く、通貨の交換性も十分とは言えない状況にある。日本がこの役割を果たすために必要なことは二つあると考える。
 第一は、アジアからの輸入を拡大するという日本の経済構造の改革である。労働集約産業から高付加価値産業への転換である。賃金格差が大きいなかで、現在のままの経済構造を維持することは不可能な状況である。
 第二は、円建の貿易や資本取引の拡大である。過剰供給の吸収により、仮に、貿易赤字が出ても、円建であれば資本勘定で自動的に資金が還流されるからである。共同体には中核となる通貨と開かれた金融・資本市場の存在が不可欠であり、幸いにも東京市場はその資格を持っていると考える。ユーロに倣ってASEAN+3の通貨バスケットを創出するには、東アジア各国の経済格差は、まだまだ大きすぎる(本年6月21日付「地域統合の必要条件再確認を」参照)。
 この二つが実現しなければ、東アジア地域の過剰供給は引き続き米国、欧州など東アジア地域外に依存することになり、東アジア共同体の自立性、持続性が維持できないことになる。中国もこの中核的地位を目指し、着々と準備をしていることも忘れてはならない。

(注)

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