名古屋環状2号線が牽引する名古屋都市圏の経済発展

2018/11/05 右近 崇
運輸・交通
経済効果
道路
土地利用

名古屋市の外周部に位置する名古屋環状2号線(以後、略称は2環と表記)は、高速道路と一般道路で構成され、現在まで段階的に開通を迎え、暫定2車線区間を含むが2011年に一般道路部分が全線開通した。一方、高速道路部分は名古屋西JCT~飛島JCT(仮称)が事業中であるが、2020年度の開通見通しであることが2017年7月に発表された。これにより2環は全線が開通し、1957年に都市計画が決定してから約60年もの月日を経て、都市圏環状道路として完全なリングが形成される(ただし、一般道路の全線4車線化の開通見通しは未定)。そこで、本稿では2環の意義の検証に資するため、CUEモデルを用いて経済効果を試算した。

2環の最初の高速道路区間が開通した(海上部除く)1988年から2015年の28年間で、約3兆8千億円の経済効果(累積便益・現在価値換算後)を中京都市圏にもたらした。1988年の経済規模を基準とし、28年かけて3兆8千億円が総生産に上乗せされると仮定すると、年平均0.49%の経済成長率に相当し、都市圏の経済発展を加速させたと言えよう。また、2環の事業中区間の経済効果が2020年から発現するという仮定の下、50年後の2069年までの82年間の経済効果の累積額は約10兆2千億円と見込まれる。

2011年に開通した2環の東部・東南部の区間、今後開通を迎える西南部・南部IIの区間により、沿線内でこれまで経済効果が控えめであったエリアでも大きな効果が期待される。今後とも2環には社会経済を支えるインフラとして、着実に都市圏の地域経済を牽引する役割が期待される。

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