コロナ禍で落ち込んだ日本の輸出を牽引する中国向け輸出~今後持ち直す公算が高いが、下振れリスクも控える~

2020/07/21 丸山 健太
調査レポート
国内マクロ経済

○新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に直面し、世界各国では流行拡大を抑えるための対策が採られ、経済活動が停滞している。各国で需要が急減していることから、日本の輸出も足元で大きく減少している。その中で、中国向け輸出はすでに回復の兆しがみられる。日本の輸出全体において重要な位置を占める中国向け輸出が今後も順調に回復していくかが、今後の日本の輸出全体の動向を左右するだろう。

○日本の中国向け輸出は、a. 中間財が多く、b. その最終的な行き先の多くが先進国である、という特徴がある。そこで本稿では、中国向け輸出の先行きを、最終財を中心とした①中国の内需向けと、中間財を中心とした②先進国向けとに分けて考察する。

①中国の内需向けの輸出は、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に、他国に先駆けて成功しつつある中国の国内需要が持ち直すのに歩調を合わせ、回復に向かうだろう。

○中国を経由した②先進国向けの輸出は、中国から先進国に向けた輸出の急減に伴い低迷が続いている。しかしながら、足元では先進各国で、感染拡大抑制に配慮しつつ経済活動を再開する動きが出てきており、中国から先進国への輸出も回復の兆しがみられる。これに対応し、日本からの中国を経由した先進国向けの輸出も増加に転じることが期待される。

○日本の中国向け輸出は今後、①、②ともに持ち直していくと見込まれる。ただし、今後の新型コロナウイルスの感染状況の推移によっては、いずれも再び落ち込む可能性がある。中国での感染第二波が下振れリスクであることはもちろん、グローバル・バリューチェーンが世界全体に張り巡らされている現在、先進国での感染爆発もまた下振れリスクとして注視する必要がある。

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