対外債務がデフォルトした後のロシアの財政状況~戦争の継続で厳しさを増すロシア財政

2023/06/01 土田 陽介
調査レポート
海外マクロ経済
金融
変化を捉える【経済】
  • 2022年6月27日、同年5月27日に利払いの期限を迎えた2本の外貨建てロシア国債の猶予期間が失効したことを受けて、ロシア政府はロシア革命(1918年)以来となる対外債務の不履行(デフォルト)に陥った。他方で、対内債務は支払いが続き、デフォルトしていないため、ロシア政府は対外債務のデフォルト後も、国内向け国債を発行することができている。
  • 2022年第4四半期以降、ロシア政府による国債の発行が急増している。最大の理由は、財政赤字が膨らんだことにあると考えられる。歳入面では、特にロシアの連邦歳入の4割を占める「石油・ガス収入」(石油・ガス関連の企業に対する課税収入)が不調に陥ったことが、財政悪化の主因となっている。歳出面では、ウクライナとの戦争の長期化に伴って軍事費が急増しており、これが財政を悪化させていると推察される。
  • 財政を健全化するためには、歳出を削減するか、歳入を増やすか、あるいはその両方が必要となる。とはいえ、ウクライナとの戦争を抱える現状のロシアに歳出の削減は困難である。他方で歳入の増加を図るにしても、増税のハードルは高い。また「石油・ガス収入」も、資源価格に左右されるため不確実である。そうなると、財政を維持するために残された手段は、国債を増発するという手段になる。
  • ロシア政府が国債を増発したとして、その主な引き受け手はロシア中銀にならざるを得ないのではないか。流通市場での購入が限界となると、発行市場でロシア中銀はロシア国債を購入することになる。いわゆる「財政ファイナンス」が行われるわけだが、これは本来なら通貨面からインフレ圧力を高める禁じ手である。
  • 2010年代に入り、ロシア経済は成長が停滞したが、ウクライナとの戦争を受けて、2020年代のロシア経済はその停滞が一段と深刻化すると危惧される。足元で国債発行が増加したことは、ロシア経済がそうした道を着実に突き進んでいることの証左といえるだろう。

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