【特別企画/全国 1 万人調査】企業規模・業種・職種別にみる働き方の変化と課題

2020/06/22 塚田 聡、矢島 洋子
1万人調査(第1回)

【概要】

・緊急事態宣言に伴う就労者の「働き方の変化」と、「働き方を変化させる上での障害」、「働き方の変化についての捉え方」を、企業規模・業種・職種別に把握した。

<働き方の変化>

・緊急事態宣言下においても、約3分の1の就労者は、働き方を変えていない。

・業種では「医療」「福祉」、職種では「運輸・保安職」「専門職・技術職(医療・保健・福祉・教育分野)」で半数超がこれまでと同じ働き方であり、職場や現場でしか仕事を行えないこと、事業の継続を要請されたことが背景にある。

・働き方が変化した就労者は、休業や勤務時間・日数削減となった層と、テレワーク等柔軟な働き方となった層に大別される。前者は、業種では「飲食サービス業」「宿泊業」、職種では「サービス職」に多い。後者は、業種では「情報通信業」、職種では「専門職・技術職(エンジニア、情報処理分野)」に多い。

<働き方を変化させる上での障害>

・問題なく働き方を変えられた就労者は約1割にとどまった。

・働き方の変化の有無に関わらず、「職場や現場でしか行えない仕事」があることが最も多く上げられた障害である。

・働き方が変化した業種・職種のうち、休業や勤務時間・日数削減となった層では経済的な不安や失業リスクが上げられた。テレワーク等柔軟な働き方となった層でも、働き方を変える上で障害がないとの回答は少なく、勤務先で柔軟な働き方を積極活用するための環境が十分整っておらず、自粛対応に苦慮したことがうかがえる。

<働き方の変化についての捉え方>

・緊急事態宣言下の自身の働き方について、約3分の1の就労者は「人との接触を減らしながら働くことができ、納得している」と回答。業種では「情報通信業」、職種では「専門職・技術職(エンジニア、情報処理分野)」に多い。

・その他、「感染リスクに不安を感じつつ今の働き方に納得している」就労者と、「感染リスクを軽減して働きたい」就労者が、それぞれ2割前後いた。前者は、事業継続要請により働き方が変化しなかった業種(「医療」「福祉」)・職種(「専門職・技術職(医療・保健・福祉・教育分野)」)に、後者は、休業や勤務時間・日数削減により働き方が変化した業種(「飲食サービス業」「宿泊業」)、職種(「サービス職」)に多くみられた。

・緊急事態宣言下では、「一人ひとりの意識・行動にかかっている」とのメッセージが政府や自治体、メディアから繰り返し発せられた。しかし、緊急事態宣言下での働き方の変化は、政府や自治体からの休業あるいは事業継続の要請対象の業界であったか、一般の消費者の外出自粛の影響をどの程度受ける業態であったか、働く時間帯や場所の変更が可能な職種であるか、企業においてテレワーク等の柔軟な働き方の環境整備が行われていたか、等の影響が大きく、個々の就労者の意識のみで対応することは困難であったことが示唆されている。

・「新しい生活様式」や第2波、第3波への対応に向けて、企業・業界単位での対応を促す必要があろう。
(続きは全文紹介をご覧ください。)

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