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サーチ・ナウ
2007.02.13 これからの高齢期における地域の住まい環境づくり
高齢期の住まい市場が活況を帯びてきた。しかし、有料老人ホームの定義変更、療養型医療施設の廃止、高齢者専用賃貸住宅の新設、介護保険特定施設の対象施設拡大等、高齢期の住まいや施設の構造改変が目まぐるしく、様々な要因が錯綜していて、今後高齢化がピークを迎える10年後の市場を一気通観して展望することは難しい。現在目標として掲げられている住まいづくりの方向は、実は1980年代後期には関係者間で共有されていたものである。生まれ育った自宅、近所のグループリビング、各種のケア付住宅いずれかを自由に選択して住み替え、生活の一部では支援サービスを活用し自立して社会参加もしながら、住み慣れた地域で暮らせる「住まい環境」の整備が進められている。今後当面、各地の整備は、施設、住まい間の費用負担の公平化、個室を基本とする居住水準の向上、特別養護老人ホームの地域ケアネットワークでの総合拠点化等がワン・パッケージ化されて進められていく。なお、急性期の医療施設と、低資産・所得層向けの社会福祉法人経営施設は別枠で存続する方向である。
高齢期の住まいの種別としては、(1)介護が必要になってから、住み替えるための住まい、(2)介護が必要になる前に住み替える住まい、の2つの種別がある。最近の報道記事では、しばしば(2)の住み替えスタイル派にスポットライトをあて紹介している。しかし過疎地域や近隣と関係がうまくいかなくなった人を除けば大半の人は、介護が必要になるまでは住み慣れた住まいで、住宅改造もして住み続けたいから、少なくとも都市部では(1)の市場の成長が中心となることは間違いない。
今後、生活機能低下の予防効果を発揮できる住まいづくりを推進する上で戦略的な役割を担っているのが、徒歩20〜30分圏域内に整備されはじめた「小規模多機能拠点」(宿泊、居住、日中活動、ホームヘルプ等)である。特に、2009年期の介護護保険と障がい者介護サービス制度との統合を踏まえて、既に各地で多世代の「共生」型拠点が、施設経営者や市民事業者(NPO法人等)との協働による整備方式によってはじめられている。
介護保険の保険者である自治体は、既往の住宅資源を活用して、特に今後住民主導の事業立ち上げを期待している。しかし、仮に住宅資源の提供があっても、事業の継続性の保障を求められるという点での重責と負担感のため、市民グループがなかなか事業参入に踏み出せずにいる地域は多い。当事業デザイン自体がニュービジネスであるからやむをえない面もあり、各地の先行する市民事業家の経営コンサルティング事業の推進を後押しする公的な制度整備が求められる。
また、今後、外出意欲が低下し孤独になりがちな地域の高齢期の人たちが気軽に立ち寄れる「社交・居場所・社会参加の情報発信」事業と地域の住まい事業や、食支援サービス等をジョイントした「地域の縁側」コミュニティ(ビジネス)の創出が、介護保険利用人口の圧縮の面からも期待される。特に「特定の目的なしでは訪問したがらない」男性層にとっても魅力のあるきっかけづくりが大きなテーマである。現在、介護保険制度では、生活機能低下の予防事業の各種参加促進手法の開発が行き詰まってきており、このような新たな事業デザインの展開は既に一部の地域では開始されている。今後、全国のサービスの均てんのためにも一層の事業促進方策が必要となっている。