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サーチ・ナウ

2007.02.19 レアメタルの安定供給確保に向けた方策と課題

環境・エネルギー部(東京) 主任研究員 織田 博嗣

 レアメタル(希少金属)とは、その名の示すとおり、地球上に存在する量が極めて少ないか、技術的もしくは経済的に抽出が困難な非鉄金属を指す。具体的には、プラチナ、ニッケル、タングステン、コバルト、レアアース(希土類)等の金属であり、先端科学分野に多く活用されている。例えば、タングステンの場合、高い硬度を有する等の特徴をもつことから、超硬工具(切削工具)の原材料として使用され、インジウムは、液晶テレビや携帯電話等の液晶パネルに用いられる。レアアースは、希土類磁石として、ハイブリッド自動車のモーターやHDDの磁気ヘッド駆動部に使用される。
 このように、レアメタルは、わが国製造業の国際競争力の源泉であるハイテク製品等の原材料として必要不可欠な存在となっている。しかし、その多くは、中国、ロシア、南アフリカ等の特定の資源国に偏在しており、わが国における供給のほとんどは輸入に依存している。さらに、中国が主要産出国となっているレアメタル等は、中国等の経済成長により近年需要が急増していることから、安定供給への不安が高まるとともに価格も高騰している。
 わが国においては、レアメタルの安定供給確保のための様々な方策が講じられているが、ここでは、その概要と課題について簡単に指摘したい。
 まず、こうした方策のうち短期的な対応策として、レアメタルの備蓄及びリサイクルの推進が挙げられる。備蓄に関しては、資源エネルギー庁主導で、ニッケル、クロム、タングステン等の7種類のレアメタルについて実施されているが、備蓄資源の追加の必要性(インジウム等)、適正な備蓄の量、官民の役割分担等、今後検討していかなければならない課題は多い。
 リサイクルに関して言えば、工場内における不良品やスクラップ等のリサイクル(工程内リサイクル)はある程度進められてきているが、一旦市場に出て使用済みとなった製品を効率的に回収・リサイクルしていくシステムは、プラチナ等の高価で取引されるものを除けば、まだ開発途上の段階である。タングステンを主要材料とする超硬工具の分野を例にとると、使用後に生じた超硬スクラップを他の金属や鉄のスクラップと区別し、タングステン等を扱う非鉄スクラップ業者や精錬業者に引き渡す仕組みを作っていくことが急務とされている。これには、ユーザーによる分別の徹底、販売店による回収の拡充等、様々な主体による協力が不可欠となる。
 長期的な方策としては、探鉱開発の推進と代替材料の開発が挙げられる。探鉱開発に関しては、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)主導で、海外資源調査や低コスト・高効率な資源生産技術の開発等の取組みが実施されている。但し、探鉱開発を効果的に進めるには資源外交による後押しが重要と言われており、わが国は、ロシア等の資源大国やレアメタル資源の開発余地の大きいアジア各国との関係をさらに強化していくことが求められている。
 代替材料開発に関しては、経済産業省と文部科学省の連携で研究開発推進プロジェクトが始められようとしている。これは、タングステン、ディシプロシウム(レアアースの一種)、インジウムの代替材料を開発し、これらレアメタルの使用量を削減することを目指したものである。但し、一口にレアメタルの代替材料開発といっても、理論研究(第1原理計算に基づく新規代替材料の設計技術等)、結晶粒径・分散性制御技術、表面制御・ナノ界面制御技術といった基礎から応用までの幅広い研究分野に関する知見が必要である。今後は、こうした分野における研究者間の連携体制の構築、研究者へのインセンティブ付与の方法、研究開発目標の設定(目標削減量、目標達成年等)等についてより具体的に検討していくことが求められよう。
 レアメタル資源の有効活用を国家目標の一つに掲げている中国等の状況を踏まえると、わが国は、製造業の国際競争力を維持向上させるため、上記で示したような方策を、官民の連携を図りつつ、多面的かつ着実に進めていかなければならないと言えよう。

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