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サーチ・ナウ

2007.03.05 〜ものづくりから見た〜団塊の世代と若年世代の仕事力

研究開発第2部(名古屋) 主任研究員 松山 豊

●グループの紹介
 私たちのグループは、幅広い分野の彩りにあふれた人材からなる少し変わったグループです。
 分野は、例えば、企業や大学の研究成果の事業化や知的財産、中心市街地の活性化・商業振興といった分野から、文化や子育て支援、教育や福祉関連の自治体の計画策定、新エネルギーや環境基本計画の策定など、多種多様な分野に渡ります。
 グループのメンバーに共通する資質をあげるならば「現場主義」。物事が発生する最前線に自らが立ち、自分の目で見て、考え、感じ取るなかで、クライアントの抱える課題解決やそのための計画を策定します。

●質的な不足が問われるものづくり
 さて、私たちのグループでは、昨年、国の委託で、ものづくり労働者に関する企業や事業者のニーズに関する調査をいたしました。団塊の世代の退職にともなって、わが国の競争力の基盤であるものづくりの力が低下する危惧がその背景にあります。

 調査時点で、既に約半数(48.5%、全国推計で12万カ所)の企業・事業所が、若年層を中心とする、ものづくりの担い手の量的または質的な不足を回答しています。
 質的な不足では、4割以上の企業・事業所が「基本的な技術・知識」(常識)、「技術・知識の学習能力」(学ぶ力)、「技術改善・開発の能力」(解決する力)の不足を回答しています。
 常識の欠如とは、世代間やセクションを越えたコミュニケーションや知の共有が上手くできていないことです。学びとる力も不足するとなれば、現場の課題を解決し、ものをきちんと作り出す仕事力はなくなってしまいます。
 
●現場をみない若年、現場に行きたがる団塊世代
 この7年ほど、私は、映像や空間、工業製品等をデザインする人材を育てる学部で講義をしていますが、そこで気づくのは、ここ2,3年での学生のクリエイティブな意欲の低下です。「何かを作り出してやろう、そのためにいろいろな人の仕事の現場に入って学ぼう」という意欲が減っているように感じます。むしろ、誰かが作ったファッションやライフスタイルというコンテンツをエディット (編集)して、消費する側にいることを喜んでいるともとれます。
 一方の、リタイアする団塊の世代はどうでしょうか。
 私たちは、技術者や経営者、あるいは営業マンとして日本を牽引してきた、企業OBたちと一緒に仕事をすることがあります。また、求職中の若年層をインターンとして迎え入れ、団塊の世代とペアを組んで、現場に投入することもあります。
 企業OBの彼らがすばらしいところは、実に元気で意欲旺盛なことです。さらにバイタリティ、仕事に対するひたむきさ、また、現場にぐんぐんと入って行き、非常に人間くさい関係づくりを楽しみながら、仕事をまとめていくことなどです。
 このような先輩の持つ、現場の仕事力は、ものづくりの人材に不足する資質を強くするための根底として不可欠なものです。さらに「ものづくり=ものことづくり」ですから、コンテンツ産業のようなクリエイティブな活動をする人材にも、こうした仕事力が求められるのです。

●仕事力の輪をつなぐこと
 若年がだめだというつもりはありません。辺見庸が「現代は、若者が深く疎外されている、痛々しき情報市場化社会である」と語っているように、消費されるメディアやサプライチェーンのなかで、若年層は、消費される立場に据え置かれ、ものことづくりについて自分で考える機会や後ろ盾がなくなっているといえるでしょう。
 かつて家には、爺ちゃんがいて、「おまえの父ちゃんだって小学生になっても、おねしょして怒られてたんだよぉ」と、しょげた孫を励ました光景がありました。団塊の世代、ばりばりとがんばっている世代が、深く疎外された若年に、現場をのぞかせ、そこで語り、体感し、解決し、仕事力の輪を、暖かくつなげていくことが大切ではないかと思います。

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