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サーチ・ナウ

2007.05.21 ポスト議定書に向けた環境都市計画のすすめ

環境・エネルギー部(東京) 主任研究員 金谷 晃

■新技術への依存度が高い我が国の温暖化対策
 今年4月末にカナダ政府は、第一約束期間(2008〜12年)における温室効果ガスの削減目標達成が不可能と公式に表明した。我が国の削減目標達成も、排出量取引やクリーン開発メカニズムに頼らなければ実現は困難と見られており、ポスト議定書に向けた抜本的な温暖化対策の構築が課題である。
 温室効果ガスのうち最も影響の大きいCO2の8割はエネルギー起源の排出のため、我が国における自国内の温暖化対策は、省エネルギー対策と自然エネルギー等の代替エネルギーの導入が柱となっている。しかし、対策の具体的内容は、産業、民生および運輸といったエネルギー消費部門別に様々な対策メニューが示されてはいるが、新技術への依存度が高いものとなっている。一例として運輸部門の対策をみてみると、ハイブリット自動車など低燃費車の普及促進、中長期的な燃料電池自動車の研究開発、今年4月下旬に首都圏で試験販売が始まったバイオエタノール燃料などがある。新技術の場合、エンドユーザーに受け入れられるかどうかは不確定であり、その他の予測できない変化もあり得え、狙い通りにはなかなか行かない。事実、低燃費車の目標台数は達成したが、自動車単体の走行距離の増加や大型化により、自家用乗用車のエネルギー消費量は大幅に増加している。
■環境都市の思想が重要
 前述したように、これまでの温暖化対策は、産業、民生および運輸といったエネルギー消費部門別の施策を基本としている。一部、都市デザインや交通システムの変革についても示されているが、総合的な取り組みはこれからといった段階にある。このため、人々が暮らす足元の都市構造から見直す「環境都市」が今こそ求められている。環境都市とは、自然資源を生かした土地利用を図る等、生態系に準じたシステムを構築するとともに、市民、企業や行政が一体となり、市民の安全性、健康、教育文化、快適性や利便性の確保に向けて、総合的な検討・配慮がなされた都市を指す。(丸田頼一、2005)
 環境都市は、広域的視点に基づく水と緑を都市構造の骨格とする。水と緑のネットワーク化により風の流れが生まれ、都市中心部が高温化するヒートアイランド現象が緩和され、シュットガルトなどドイツの都市計画が好例である。また、二酸化炭素の吸収源である緑は、美しく快適な景観を形成するため、維持管理は、市民ボランティアなど地域コミュニティの協力により推進することも期待される。さらに、維持管理費の負担低減だけでなく、ボランティアへの地域通貨の支給など、中心市街地の地元商店街の振興と連携している例などもある。
■都市構造改革と環境都市
 昨年公布された改正まちづくり三法の一つである改正都市計画法(都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案)は、これまでの拡散型都市構造を集約型都市構造に改める抜本的な制度改正である。これにより、都市機能配置における適切な土地利用計画が可能となるため、自然資源を生かした土地利用に加え、地区ブロックにおける熱供給システムなどの面的な温暖化対策の推進にも弾みがつくことが期待される。
 また、改正まちづくり三法のもう一つの柱である改正中心市街地活性化法(中心市街地の活性化に関する法律)は、多様な関係者の参画を得た中心市街地活性化協議会を法制化していることから、環境都市が目指す「市民、企業や行政が一体となり、市民の安全性、健康、教育文化、快適性や利便性の確保に向けて、総合的な検討・配慮」を行う基盤形成も期待される。
 環境都市の計画策定には、総合的な都市計画や都市空間形成、地域コミュニティのあるべき姿などの検討を要することから、まちづくり三法が改正された今こそ絶好の機会と思われる。

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