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サーチ・ナウ
2007.08.20 サーチ・ナウ:進む地方公営企業の民営化
〜求められる収益性とリスクへの対応〜
地方公営企業の民営化が進んでいる。総務省資料によると、平成13年4月1日から平成17年11月1日の間に民営化または民間譲渡された地方公営企業は実に90事業にも上る。譲渡事例では介護サービス事業の40事業を始めとして、ガス事業は18事業、交通事業及び病院事業は9事業に及んでいる。都道府県や政令市を初め、様々な地方公共団体で地方公営企業の民営化の検討を進めており、その後も着実な進展を見せている。
総務省も、平成17年3月に策定した「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」のなかで、「サービス自体が必要な場合であっても、地方公営企業として実施する必要性について十分検討し、特に公共性の確保等の意義が薄れている場合には、民間への事業譲渡等について検討すること」と積極的な改革を求めている。
地方公営企業は、行政の一般会計と切り離し、公益性を確保しつつ事業収入をもって経費を負担する特別会計によって経営される企業であり、民間企業の経営形態と基本的に変わるところはない。民間では適切に供給されない恐れがある財・サービスを対象に行政が代わって提供するといった考え方に基づいているが、当該財・サービスを提供することが既に定着している成熟した社会の中では、その必要性も大きく変化したと言って良い。むしろ、自由な競争社会の中でより一層の効率化をはかり、国民にとって安価で充実したサービスの提供を社会的に実現していくことのほうがより重要であろう。
しかし民間企業として経営していくからには、事業を継続・拡大していくことのできる十分な収益性が必要である。地方公営企業法では、必要があれば一般会計からの繰入れを認めてきたし、また地方公営企業の多くは地域独占的な性格が強く、激しい企業間競争を展開してきたわけでもない。経営効率を追求してきたにしても、民間企業として事業を続けていくためには、より一層の経営努力が要求される場合が多いであろう。
民間企業に事業を譲渡する場合には、事業の収益性は譲渡を受ける民間企業にとって基本的な判断基準となる。民間企業は、基本的には収益還元価格を基準に事業価値を検討するため、収益性の低い事業はその分だけ低く見積もる。地方公営企業はガスや水道など大規模なインフラを持つ場合が多いが、これらインフラの機能不全によるサービス停止等の事業リスクが懸念される場合には、事業価値は新たに必要となる更新投資の分だけさらに低く見積もられることとなろう。民間譲渡ではなく、株式会社化など経営形態を変更する場合も同じである。むしろより厳しい検討が自らに課されることを覚悟しなければならない。
地方公営事業の民営化を進めるに当たっては、当該事業の収益性を確保し、リスクへの対応を十分に準備しておく必要がある。民営化することはそのための有効な手段であることには相違ないが、事前に事業価値を十分に高めておくことが、民営化を円滑に実施するとともに、民営化後においても地域住民へのサービス水準を落とすことなく、むしろ引き上げていくための最良の方策ではないだろうか。