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サーチ・ナウ

2007.08.27 地域発展を支える産学官連携

政策研究事業本部 執行役員 名古屋本部長 西村 晴樹

 国立大学の独立行政法人化に伴い、産学官連携推進強化の機運は高まっています。ただ、これから新たにスタートするというのではなく、これまで推進・運営を行って来たが期待した程の効果が評価できず、更に実効性の高い手法が編み出せないかというのが本音のところと思います。また、全ての大学に共通したコンセプトは、地域や社会の為に大学として出来ることは積極的に実施して行きたいというところに軸足が置かれているようです。
【産業界の課題】
 一方で、景気が徐々に回復し産業界での課題は「人材確保」に概ね絞られてきています。元気の象徴的存在である中部地区はものづくりの地域として評価を受けていますが、トヨタ自動車を始めとした「クルマ産業」、三菱重工業、川崎重工業などが扱う「航空機産業」の2大産業がこの地域にしっかりとした裾野の広い産業基盤を有していますし、加えて、この産業基盤を支える物流システム、空港・港湾など整備が進んできています。正に中部はこの産業基盤の中で超大企業から零細企業に至るまでが「クルマ産業」と「航空機産業」に何らかの関わりを持ちながら活動している地域といえます。
 しかしここに来て、その産業基盤を支えている人材、技術者の確保が極めて厳しくなった情勢があらゆる企業に影響を及ぼし、ものづくり産業界の悩みになりつつあるのが実情です。そして、その確保が難しいとなれば、企業戦略の次の一手はより多くの人材と、技術者が確保できる地域を目指していくという事になります。そしてこの戦略は、国内に止まらず海外までを展望するということになるはずです。これでは、ものづくりを誇る地域として空洞化が避けられなくなります。今や、ものづくりを支える企業においては人材確保の厳しさに汲々とする発言が目立ってきています。1つの例として、名古屋には名古屋大学のような総合大学、名古屋工業大学など工学系の大学はあるが、産業界が求める技術者確保には数のうえで限界があり、結局関東圏、関西圏などの大学に採用を試みるものの、名古屋の魅力が乏しいのか名古屋での勤務に抵抗を示し上手く行かない場合もあるとのことです。この傾向は他地区においても多かれ少なかれあるのではないでしょうか。
【解決の方向性】
 こういった産業界を取り巻く状況から言えることは、その地域の魅力を如何にして作り、この地域で学びたい、働きたい、そして生活したいという地域の魅力ある環境をどのように創造していくかが大きな鍵になるように思えます。地域に魅力があり、自然に人が集まってくる環境の創造こそが解決の糸口になるのではないでしょうか。
【産学官連携のあり方】
 この環境作りは時間が掛かります。必要なことは、産学官(産業界、大学、行政)が、一緒になって地域の未来像を描き、各々の役割を明確にした上でその実現のために連携を図り推進していくことが求められると思います。産業界が必要とする人材、技術者の育成のために、教育機関である大学が本来の役割を果たすことは当然ではありますが、人が集まる魅力ある都市づくり、生活空間づくりを担う行政と連携を図り、大学の研究成果を大いに加えることでより良い地域づくりに繋げていく事も求められるはずです。更に、生活者が増えてくるとインフラの整備も必要になります。安心、安全を目指した地域のインフラ作りは、正に産学官連携の大きなテーマになるでしょうし、憩い、文化の香りのする地域づくりもその一環でしょう。
 大学では、研究室が持つ研究成果を産業界に提供することや、知的財産の有効活用のための流動化、大学発ベンチャー企業の育成など色々な試みがなされています。行政の対策もあって支援のための仕組みづくりは概ね完成し、後はその活用が期待されている段階に来ているように思えます。産業界活動において成果のあった研究室・先生方の評価をどうするか(論文評価からの前進)、大学発ベンチャー企業の育成、経営管理体制強化、大学の知的財産の活用など検討が必要なテーマもありますが、機運の高まったこの時期にもう一度地域貢献を支える産学官連携のあり方、方向性など大きなフレームワークの構築が望まれているように思えます。

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