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サーチ・ナウ
2007.09.18 サーチ・ナウ:■ 環境技術に国際競争力がなかったのはなぜか
高い技術力は日本の産業の強みである。環境分野においても日本の技術力は高く、国内での環境改善や省エネルギーに大きく貢献してきた。しかし、これらの技術がすべて、相応の国際競争力を得てきたわけではない。本レポートでは、いくつかの技術事例について、技術力が競争力に結びつかない(つかなかった)理由や背景を整理しながら、新しいチャンスとなる可能性やポイントを3つ紹介したい。
1)人類共通の課題に対して、人類共通の解決策を探ろう
日本独自に確立させた高い技術に、PETボトルのプラスチックケミカルリサイクルがある。狭い国土による処分場確保難等の日本独自の事情もあり、各種制度が整えられ、開発が進んだ。しかし、この技術は輸出できていない。高い費用をかけてまでPETボトルを大量に回収する国は、現在のところ日本とドイツしかないためである。
一方、太陽光発電技術では、日本製品が世界の生産シェアの約半分を占めている。94年度から始まった住宅への太陽光発電補助事業の需要拡大効果により、国内企業における技術開発と大幅なコストダウンとが実現し、99年以降日本企業の生産シェアは世界一を維持している。
太陽光発電とケミカルリサイクルの違いは、課題とその解決策が現段階において人類共通の視点によるか否かである。1990年代、日本が太陽光発電技術の推進を始めた背景には、脱石油政策もあったが、現在は人類共通の課題である温暖化対策として脚光を浴びている。資源・廃棄物問題も人類共通の課題であり、リサイクルは世界の流れではあるものの、ケミカルリサイクルが解決策の主流となると予測する人は少ない。
経済・社会のグローバル化、地球環境問題の深刻化により、これまで個別であったが今は人類共通課題となっている環境問題は多い。レアメタルリサイクル、水資源対策など人類共通の課題に対し、国際的視野に基づいた解決技術策を探って行くべきであろう。国内の独自技術を輸出するのではなく、輸出できる技術を開発するのである。国際競争力をつけた技術は、日本や地域固有の課題に対しても効率的に解決に導いてくれるはずだ。
2)究極の人類共通課題である温暖化対策に向けて、省エネ技術の再評価しよう
コジェネレーション(発電時の廃熱を有効活用する技術)や高炉炉頂圧発電(高炉から発生するガスの圧力を利用して電力を回収する設備)などは、これまで日本が推進し省エネに大きく貢献してきた技術であるが、実は海外ではあまり重用されていない。省エネルギーよりも省電力に特化する技術は、電力料金の低い海外では投資回収が難しく、国内ほど普及してこなかったからだ。
しかし、温暖化対策が究極の人類共通課題となり、多額の資金を用いて二酸化炭素を削減、さらには吸収・固定させ、排出権を購入する時代がやってきた。CDM(クリーン開発メカニズム、京都メカニズムの一つ)の枠組みや「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(2005年に始まった国際的な官民パートナーシップ)などが整い、省エネ技術の活用の場も増えている。こうした追い風により、あらゆるレベルの省エネ技術が再評価され、国際舞台に浮上するチャンスがやってきている。
3)「コ・ベネフィット」のチャンスを見逃さない
これまで、高い技術力を保有しながらも、高スペック・高価格などの理由から海外で競争力を発揮していないと言われる数々の環境管理(公害対策)技術であるが、この分野においても、息を吹き返すチャンスがやってきている。コ・ベネフィット対策だ。コ・ベネフィット対策とは、途上国の公害対策等と温暖化対策との相乗的・一体的な対策であり、日本の環境立国戦略、国際協力の柱ともされている。産業や交通部門の大気汚染対策のほか、廃棄物系バイオマスの有効活用なども注目されている。
また、中国では北京オリンピック開催や外資企業誘致のために、大気汚染対策に本腰を入れ始めたというニュースもある。これまで、現地企業に緩かった排出規制運用や、保護政策的な許認可制度などが見直される可能性も高い。引き続き、スペックのすり合わせ、コストダウンなどの努力が求められるものの、途上国の環境管理技術市場は新しい段階に入ったといえるだろう。
○国際的視野をもった目標設定と資金投下
制度や枠組みを整備推進するのは国の役割である。技術力だけでなく競争力も向上させるためには、これまでの経験を踏まえ「高コスト構造ではなく、コストダウン」を誘導するよう腐心すべきである。また、研究資金投入は、国の補助金や税制優遇だけに依存する必要はない。民間企業の研究開発の戦略性にも期待がかかる。また、預金者や出資者が特定の目的を指定するソーシャルバンク(オルタナティブバンク)という民間のグリーン資金の流れが、国内でも始まっている。
国、企業、そして国民(市民)が、地球規模的視野を持ち投融資することが、地球環境改善の面からも国際競争力確保の面からも重要であり、かつチャンスなのである。