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サーチ・ナウ

2007.11.12 サーチ・ナウ:環境、環境と言い過ぎない企業・自治体経営の勧め

研究開発第2部(大阪) 主任研究員 永井 克治

 1992年のリオ環境サミットの頃から地球環境問題の調査・研究に携わってきたが、当時に比べると、確実に地球環境問題への取組や意識改革が進んでいると考えられる。
 わが国においても、環境基本法をはじめ各種法制度が整ってきており、企業は環境経営に取り組み、新聞やテレビを見ても、地球環境問題の文字や映像を見ない日はないくらい着実に浸透している。また、住民についても、内閣府がこの10月6日に公表した「地球温暖化対策に関する世論調査」(環境税について賛成派が40%で、前回2005年の25%から大幅に伸び、反対派の32%を初めて上回った)にも見られるように、費用負担が伴ってでも地球環境問題の解決に取り組むべきという意識が着実に高まっているようである。
 ただ、地球環境問題解決に向けて、幅広く住民が参加したローカルな活動(意識改革にとどまらず)は、今ひとつ浸透しきれていないような気がするのは私だけだろうか。
 わが国は、今後、環境税や排出権取引など、地球環境問題の解決に向けた制度導入等に具体的に着手していくだろう。ただ、住民は、何か自分の手の届かない所でどんどん物事が決まっていくという感覚に陥り、自分には関係ないから無関心、損するから反発という状態にならないかと危惧する。確かに、行政主導で様々な枠組みを決め、それに基づいて企業や住民が活動していくことが地球環境問題解決に向けた最大の処方箋であるが、地球環境問題を引き起こしている原因のほとんどである企業や住民が実際に活動しないと根本的な解決には至らないと思う。
 企業は、これまで幾度となく公害問題などを乗り越えてきたように、地球環境問題に対しても、環境技術の開発や、所有型からリース型にする等の構造転換によって問題をクリアしていくであろう。また、住民も、別に限られた人達の取組だけが進んでいる訳ではなく、例えば先日第3回ロハスフェスタ(万博公園)が雨の中盛況に行われたように、幅広い住民参加型のローカルな活動も進んできているように思う。
 そこで今回、消費者に対してはあまり環境、環境と言い過ぎない企業経営を提案したい。例えば、今後ビジネスチャンスや潜在的経済規模が大きいと考えられる「森、林、木」を切り口とした事業などどうだろうか(例えば、EUでは森林関連産業の位置づけは大きく、林業・林産業は全製造業の生産額、付加価値額、雇用の約10%を占めていると言われている)。こういった事業をする際、前面に「地球環境問題」を出さず、消費者にはイメージや感性に訴える方が良いと考えている。「家族旅行で、海に行くか、山に行くか」、「ボランティア活動に参加する際、ごみ清掃にするか、里山の間伐作業にするか」、「カフェに行く時、コンクリート構造の店を選ぶか、木造の店を選ぶか」など、消費者の選択行動の中で、後者を選ぶ場合が結構多いのではないかと思う。このように、企業の生産・サービスやCSR等の事業において、「地球環境問題のために」と言わず、さりげなくこういった事業を展開する方が、消費者である住民に受け入れやすいのではないかと思う。そしてその結果や効果を、最後に環境報告書に掲載するなり、HPで公開するなりすれば、企業価値の向上にもつながると考えられる。
 その際、例えば自治体においては、そういった事業を「地球環境問題に貢献している」ということも含めて広くPRし、その事業を支援することが望ましい。また、何より大事と思うのは、このような事業に対して、公共事業やエコオフィス的な取組等により、初期段階でのマーケットを創出することであると思う。さらに、自治体自体も、例えば中山間地域等であれば、「森、林、木」を素材に、環境、環境と言い過ぎない自治体経営を行い、観光振興や地場産業振興等を行うのが良いと考えている。
 ぜひ、環境、環境と言い過ぎない企業経営、自治体経営を一考してみてはどうかと考える次第である。

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