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サーチ・ナウ
2007.11.19 サーチ・ナウ:国産バイオ燃料メーカーは近い将来、誕生するか?
環境・エネルギー部(東京) 主任研究員 桜井 仁
昨今、バイオ燃料という言葉を巷でよく耳にするようになった。バイオ燃料とは、植物性の物質等、バイオマス由来の物質を利用して作られる燃料のことである。薪や木炭、木質ペレットなどの固形燃料もあるが、近年、特に注目を浴びているのがバイオエタノール、バイオディ−ゼル燃料等、最大の需要先と想定される自動車燃料として使用可能なものである。バイオ燃料を自動車燃料として使用するメリットとしては、
- カーボンニュートラルであるためCO2排出がゼロ
- 硫黄分がないために硫黄酸化物(SOx)の排出がゼロ
- 一酸化炭素・炭化水素(すすや黒煙)の排出が少ない
などが挙げられる。
また、食品廃棄物や下水汚泥、建設廃材等を原料とする場合には、循環型社会形成にも寄与しうることから、地球温暖化防止に加え一石二鳥である。食品リサイクル法の観点からは、対応が進みにくい中小食品メーカーや飲食店・外食産業からの食品廃棄物の再生利用手段としても有望視されている。
食品廃棄物のバイオエタノール原料としての利用可能性
| 食品廃棄物 | 具体的内容 | バイオエタノール原料としての利用可能性 |
| 食品原料の絞りかす等 | 主に食品製造業者から出るおから、ふすま、サトウキビかす、ゆず絞りかす、みかん絞りかす、コーヒー豆かす、大豆絞りかす、茶がら | セルロース系バイオマスとして利用可能 |
| 生ごみ | 主に外食産業や食品卸売・小売業から出る残飯、野菜くず等 | デンプン系バイオマスとして利用可能 |
しかし、このような廃棄物もしくは未利用バイオマスがいままでバイオ燃料として利用されてこなかったのは、それなりに理由がある。
- バイオエタノール燃料の製造にあたっては、その製造プロセスにおいて多大なエネルギーを要することから、事業採算性を確保するためには、大量の原料を調達でき、焼却炉併設等未利用で低コストのエネルギーを有効利用できることが求められる。このような立地条件を充足する事例がなかなか存在しない。
- 自動車燃料用のバイオエタノールとしては無水エタノールにまで純度を高める必要があり、事業採算性の向上に向け、蒸留装置での蒸留に代わる新たな技術の活用が求められている。
- バイオディーゼル燃料の原料となる廃食用油は、飼料、石けん原料等の分野で既に有効利用されてきており、現在、地域レベルで進められているバイオディーゼル燃料化の原料となる家庭系の廃食用油は、その回収費用がかさみ、事業採算性の確保が困難である。
平成17年度のNEDOの「バイオエネルギー地域システム化実験事業」を通じ、北九州市において実証実験を行った結果、1ℓあたり40円程度(輸入エタノールの価格と同等程度)で生産できるという試算結果も得られたそうであり、実用化への期待も膨らむ。ただし、これは食品ごみ受入費が1万円/tという逆有償で原料を調達する前提で、かつ、プラント建設費をNEDOが全額負担するような前提で成り立つ話である。
このように、原料調達、バイオ燃料製造、バイオ燃料販売のそれぞれの段階で経済性の確保に向けた課題が依然、山積であり、国産バイオ燃料メーカーの早期誕生の可能性は低いと言わざるを得ない。しかし、バイオ燃料の原料となりうる農産物価格の高騰が恒常化しつつある現在、国産バイオ燃料メーカーの誕生への期待は今後一層高まることから、その育成・支援に向けた施策が求められよう。