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サーチ・ナウ
2007.11.26 「地域ブランド」が地域を救う
■「地域ブランド」を巡る動き
地域活性化のツールとして、地域に固有の資源を活用した「地域ブランド」への注目が高まっている。発端となったのは2006年4月の商標法改正に伴い創設された「地域団体商標制度」であるが、今年6月の「中小企業地域資源活用促進法」の施行などもその動きを後押ししている。
従来「地域名+商品名」からなる商標は原則として登録できず、全国的に高い知名度を獲得したと判断された場合などに限り認められてきた(「夕張メロン」「西陣織」など)。これに対し「地域団体商標制度」では、加入の自由が担保された組合・団体等が出願する場合に限り、隣接した都道府県で知られている程度でも認められるなど、認定へのハードルは格段に低くなっている。このため各地の生産者団体等から多くの出願があり、制度創設から一年半が経過した2007年9月末で出願件数は758件、同時点までに商標として認定された件数は311件となっている。認定された商標には、「魚沼産コシヒカリ」「松阪牛」などの一次産品、「輪島塗」「今治タオル」などの地場産品のほか、「草津温泉」「道後温泉」といった観光資源も含まれている。
各地の一次産業・地場産業は安価な輸入品との競合や従事者の高齢化などの問題を抱えて多くが衰退傾向にある。産業・雇用の維持・創出に悩む地方行政にとっても地域ブランドはその問題を解決する「切り札」であり、自治体の後押しを受けて出願された地域団体商標も多いほか、複数団体からの出願を自治体が調整、一本化させた例もある。
一方「中小企業地域資源活用促進法」は、都道府県が指定し国が認定した地域の特徴的な資源(農林水産物、鉱工業品及びその生産技術、観光資源。全国で8,354件が指定されている)を活用した事業に取り組む中小企業を支援するものであり、本年10月に全国で153の事業計画が最初の認定を受けている。
■「地域ブランド」の意義と構築の視点
このような取り組みの結果、ある品目が地域ブランド商品として定着した場合の効果は、直接的にはその商品の売り上げの増加に伴う様々な経済効果が上げられるが、無視できないのは「消費者の地域への関心の喚起」「地域イメージの向上」といった効果である。良質な製品を供給することが、消費者の「このような製品を産み出す地域はどんなところだろう」といった関心を呼び、また消費者に「このような産品が育つところは環境が良い場所だろう」というようなイメージを与えることにつながりうる。日本経済新聞社が行った消費者調査では、地域ブランド商品について「気に入った商品を生んだ地域に好印象を持つ人」の割合は93.9%にも達し、「その地域の他の商品について関心を持つ人」が65.0%、「その地域に観光したい人」が70.4%も存在する(日経MJ2007年3月5日)。地域ブランドが地域経済へ与えるインパクトは大きなものになりうると考えられる。
このように、地域ブランドの構築は単にその製品の需要拡大を実現するだけでなく、地域活性化の救世主にもなりうる。ただし地域団体商標の登録と地域ブランド構築はイコールではないし、地域団体商標の登録が商品の売り上げ増加に直結するとは限らないし、そもそも模倣リスクのない商品ならば商標登録の意味はない。
ブランド名ではなく、そのブランドを冠する商品の価値を消費者に認めてもらうことがブランド構築の基本である。その地域に独自の価値を創り出すこと、その価値を確実に消費者に伝えることが、地域ブランド構築に向けた取り組みの中心に置かれるべきである。そのためには高い品質を維持する努力と、「安全・安心・本物」を提供し続けることが重要かつ最低限の取り組みとなる。この際、地域団体商標登録を睨んで組合等で取り組む場合には、組合等を構成する事業者全てに高い意識が必要である。品質基準を構成メンバーのうち一番レベルの低い事業者に合わせるなどの対応は避け、ブランド価値を最大限に高める意識を共有する努力が求められる。