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サーチ・ナウ
2008.01.21 消費者金融・消費者信用をめぐる規制改革の動向
(その意義と実効性について)
昨今、消費者を取り巻く金融(ローン、クレジット)や決済に関する法規制改革の動きが目立っている。本稿では、その概要、意義およびその影響について簡単に述べてみたい。
まず、2006年12月に多重債務の抑制等を目的として貸金業規制法が貸金業法に改正・公布され、2007年12月19日本体施行、その後2年半の間に段階的に実施される。特に影響が大きい上限金利の引き下げ(29.2%から20%へ)や、総量規制(貸付残高計が年収の1/3以下)は、最終段階での実施であるが、既に業界では前倒しでの対応を求められている。貸金業界では、(出資法金利に基づく貸出が司法により否定されたことに伴う)過払金返還問題と重なり、貸金業法成立以降、大手・中堅貸金業者では合併、業態転換、民事再生申請等を迫られ、中小業者では廃業、倒産が激増しているようである。
他方、割賦販売法については、消費者トラブルが集中している悪質勧誘販売行為を助長する不適切与信を排除するという目的に対し、個品割賦購入あっせん業者の規制強化(あっせん業者の登録制導入、与信業者の加盟店調査義務等)と、不適正与信の排除に向けた民事ルールの導入(個品割賦購入あっせん与信契約のクーリングオフ導入、既払金返還ルール)等の法改正の方向にまとめられた。審議途中で出ていた商品等購入時の総量規制等は導入せず、問題集積分野において限定的ながら実効性が期待できる内容に整理された。
加えて、金融庁/金融研究研修センターの「決済に関する研究会」が2007年12月に出した「中間的な整理」では、電子マネー、収納代行、代金引換、ポイントサービス等についても、主に利用者保護の視点から何らかのルールの検討を行う必要があるとしている。
これらの規制改革の動きの中で国民生活や関係業界への影響が特に大きい貸金業法については議論が絶えないところだが、この法改正により肝心の多重債務問題が解決に向かうかについては、非常に厳しいと言わざるを得ないのではないだろうか。上限金利をここまで下げれば、正規の与信業者は審査を厳しくするため、借りることの出来ない人が相当数出てくる。上限金利や総量規制は一見あるべき規制に思えるが、日本の上限金利が諸外国の金利と比較して高いとは言えず、残高ベースの総量規制は他国に類を見ない中で、現時点で金融業界や、借りたい人の機会をここまで一方的に取り上げて良いものかと思う。
そもそも消費者金融は、洋の東西を問わず、時代を問わず、人が生きていく上で生じる必要性から自然発生的に生まれたものであるが、どの国においても良い印象は持たれておらず、実際当事者間で様々な問題が起こるため、多くの国の銀行は直接積極的には扱いたくない分野で、借手も、貸手も、何らかの引け目を感じているビジネスである。今回その貸金業に対し、不祥事が多発したタイミングで政府が大幅な縮小均衡を求め、他方、今後借入れができない人や多重債務者には、全国のセーフティネット貸付や多重債務相談窓口で対応するとした。しかし、この公的負担の解決策が適切かどうか十分に議論されたとは言い難い上に、多重債務者(及び予備軍)の何%が公的窓口に出向くのか甚だ疑問である。
多重債務問題の直接的な責任は、一部で貸し込み過ぎや違法な回収等があった貸金業界にあるだろうが、それ以上に、長年ヤミ金対策が打てず、出資法グレー金利への判断を示せず、多重債務の本質的原因に関心がないまま、適切な業界指導や、消費者教育やカウンセリングシステムを後回しにしてきた行政の責任がより大きいのではないか。今回、この多重債務問題を格差問題に関係付けて法改正を急ぎ、内閣に多重債務者対策本部を設置して官庁横断の対応を行うのであれば、より抜本的な対策(格差問題、生活保護という社会システム上の問題や、多重債務予備軍を生まない教育等)にまず取り組み、解決への筋道や実効性を多少でも提示した上で、関連業界や国民にその責任範囲を示すべきであろう。
幸い、改正貸金業法には見直し付則がある。この見直しは、まず行政として自らの責任を果たすために、非常に難しいと思われる実態把握を徹底的に行い、抜本的な問題点を見据えた上で、早急に本当の問題解決に向けた見直し政策を検討していただきたいと思う。