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サーチ・ナウ

2008.02.12 「独立行政法人(独法)改革の本質」

公共経営・公共政策部 主任研究員 福井 健太郎
  • 平成19年12月、行政改革推進本部事務局により「独立行政法人整理合理化計画」が公表された。これは、独法制度の創設後6年が経過したことを踏まえて、原点に立ち返り101法人を抜本的に見直すものであり、具体的には、法人の廃止・民営化、統合などによって法人数を85法人に削減し、平成20年度に総額1,569億円の財政支出を削減するという内容になっている。
  • 今回の独法見直しは、「小さな政府へ」や「官から民へ」など、外形的な「効率性」に着目した見直しの議論が主流になっていたが、このような「効率性」に着目する見直しで、はたして独法の本質的な改革が進むのであろうか。今回の整理合理化計画のもとで、実際に独法の改革が進み、与えられた目標をより効果的・効率的に達成できるようになるかというと、はなはだ疑問である。
  • 独法の抜本的な改革を行うためには、外形的な組織・財政支出の削減などの「効率性」に着目した改革を実施するだけではなく、「成果マネジメント」(国民や産業界に対して提供するサービスの質の向上を図り、提供相手に望ましい変化を起こすこと<=成果導出>を目的/起点にしたマネジメント)を組織に定着させるなど、マネジメントの本質に踏み込んだ改革を実施することが必要である。具体的には、独法の成果を適切に測る仕組み(業績評価制度)を確立し、その評価結果をPDCAに活かす仕組みを構築・定着させ、資源配分の最適化及び費用対効果の最大化を図ることがまずは重要である。そして、これらを通じて与えられたミッションを効果的かつ効率的に実現する組織への変革(=マネジメント改革)を実現することが必要と考える。
  • ここで独法のマネジメントの現状について、一つの例を挙げる。独法では、独立行政法人会計基準に代表されるように、制度会計としての「財務会計」は導入されているものの、ほとんどの独法において「管理会計」の仕組みが構築されていないために、事業ごとの投入コストが把握できず、事業ごとの若しくは事業間の比較を前提としたコストパフォーマンスの分析ができない状況にある。そのため、経営者は、経営資源の配分や業務の見直しなどの経営判断に必要となる会計情報を入手することができず、結果的に最適なマネジメントやマネジメントの改革が実施できない状況にある。
  • マネジメントに必要な会計情報を提供するためには、「管理会計」の仕組みを導入することが必要である。具体的なツールとしては、サービス産業や地方公共団体において広く導入されてきているABC(Activity-based Costing:活動基準原価計算)などが有効と考える。
  • このように、独法の本質的な改革を進めるためには、外形的な組織・財政支出の削減などの「効率性」に着目した改革を実施するだけでなく、成果を上げられる組織に変わるためのマネジメント改革を実行することが不可欠と考える。独法の経営資源やマネジメントノウハウの不足を補うための一つの手段として、民間の経営者やそのサポートのための民間出身者をチームとして受け入れ、民間人の経営マネジメントにかかる専門的能力、リソースを活用することが有効であろう。
  • 多くの独法では外形的な「効率性」を追求することで精一杯であり、人員や予算などの経営資源が削減されるなか、事業の有効性を上げる(成果を上げる)ための新たなマネジメントのシステムを導入することは困難な状況にあるというジレンマに陥っていることも事実である。そのためにも、個々の独法ではなく、政府全体の取組として推進していくことが求められるのである。

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