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サーチ・ナウ
2008.06.09 改善傾向をみせた開業率と中小企業の立地選択
4月25日に2008年版「中小企業白書」が公表された。本稿では同白書の中から開廃業の動向と中小企業の立地選択に関する分析に焦点を当て紹介する。
我が国の開業率は長期的に低迷し廃業率を下回っており、日本経済を支えてきた中小企業の活力をどのようにすれば取り戻すことが出来るかが産業政策上の大きな論点となってきた。さて、2006年の総務省「事業所・企業統計調査」のデータが利用可能となり、同白書で開廃業率の推移をみると、事業所数ベースで開業率6.4%(2004年では4.2%)、企業数ベースでも5.1%(2004年では3.5%)と大きく改善していることが確認された。80年代以降個人企業の開業率が大きく低下したことが、我が国の開業率低迷の一因とされてきた。そこで企業数を会社企業と個人企業に分けてみると、会社企業では開業率が改善し5.6%となり、廃業率が5.5%とほぼ拮抗している。一方、個人企業では開業率が改善しているものの4.8%に留まり、廃業率は6.6%となっている。開業率の改善は会社企業の新規開業の増加が原因となっていることがわかる。この開業率の改善の背景には、会社法施行前の会社設立の増加、および最低資本金制度の撤廃によって資本金300万円以下の会社設立が増加するといった事情があった。
さて、開廃業の問題を中小企業の立地選択と関連づけて分析しているところが、今年の白書の特徴である。地域別にみると、大都市を抱える都道府県で開業率が比較的高くなっている。同一都道府県内では、県庁所在地がその他の市町村に比べて高い開業率を示している。白書では、大都市のように市場が大きい地域では開業数が多いが、競争も厳しいために結果的に廃業も多くなる一方で、大都市では人材の確保が容易で開業しやすい環境にあると分析している。
また、立地の選択要因として、販売先や市場を考慮する需要サイドの「マーケッティング要因」と原材料や人材の確保といった供給サイドの「生産要素要因」を取り上げている。「マーケッティング要因」についてみると、人口規模が小さい場所に立地した企業は「近くに多くの顧客が存在している」ことを、人口規模が大きい場所に立地した企業は「顧客のアクセスが容易である」ことを重視している。「生産要素要因」についてみると、原材料・費用については、人口規模が大きい場所に立地する企業は「地価、賃料が安い」を、製造業では「従業員の確保」、非製造業は「地場企業とのネットワークの構成」を重視している。なおかつ、企業は「生産要素要因」と「マーケッティング要因」のバランスを考慮している。確かに、現実のビジネスの世界をみると、大市場にビジネスが集中し、大都市では地価や賃料といったコストと人材の確保が重要な要因となっている。大都市では顧客に魅力的な場所を求めてオフィス選びが繰り広げられる。至極単純なことを言っているようで、データに裏打ちされた冷静な分析と評価できる。
企業の立地選択がどのようになされているかを客観的に分析し、地域の産業政策あるいは雇用機会確保に厳しい現実を突きつけたレポートである。