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サーチ・ナウ

2008.08.04 観光立国への警鐘

研究開発第1部(名古屋) 主任研究員 田中三文

 昨年の外国人訪日旅行客数は835万人と過去最高に達し、観光立国を標榜し国策として2003年より推進してきたビジット・ジャパン・キャンペーンは確実に成果を残している。そして、今年に入ってからも対前年比で10%を超える勢いで伸び続けており、国が目標とする2010年1,000万人という数字はかなり現実味を帯びた数字になっている。国はこの勢いそのままに、その10年後の2020年にはさらに倍増の2,000万人を目指すことが中長期計画としてあげられるなど国際観光活性化への期待は依然高い。
 一方、国内の観光である。昨年制定された観光立国推進基本計画においてひとりあたりの国内旅行宿泊数を2005年度の2.77泊から2010年には4泊に伸ばそうという目標がある。ところが、先日発表された2007年度のデータでは、伸びるどころか2.47泊(暫定値)に減少してしまったのである。そして、原油高とそれにともなう消費不況により宿泊旅行客は、ガソリン値上げが実施された5月以降急激に減少しており、全国のホテル・旅館は、集客減、コスト高の両ばさみにあい非常に厳しい経営局面を迎えることが予想される。
 外国人旅行客が順調に増加しているのは観光立国推進においては、大変喜ばしい結果であり、このままさらに伸びていくことは観光業界にとっても望ましいことであろう。しかし、外国人宿泊数は、現状では全体の総宿泊数のわずかに7%にしか過ぎず、残りの93%は国内の旅行客なのである。外国人旅行客の増加数に比べれば、国内旅行客の減少数の方が圧倒的に多い。このまま国内の旅行客が冷え込んだままでは、これまで安い単価で外国人旅行客を受け入れてきた宿泊施設も状況は変わってくるであろう。
 国が進めてきた外国人旅行客誘致の施策は成果を見せていることからも高い評価ができる。そして、このままビジット・ジャパン・キャンペーンを強化していくこともおそらく成果を導くであろう。しかし、同等、いやそれ以上に、国内観光振興策に手を打たなければ、国際観光、国内観光両面の振興による観光立国を築いていくことはできない。国内における観光の魅力は各地独自の努力によって年々高まっている。ところが、行き先はあれど、行く人が減っている。国内観光は原油高と消費不況によって大変な危機を迎えている。情報発信や休暇促進など、行くための動機を喚起するための施策の強化、そして、依然、泊食分離が実行できず今の旅行者のニーズから離れてしまっている多くの旅館のイノベーションの推進支援など、需要喚起と受け入れ側とニーズのマッチングへの緊急対応が求められる。

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