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サーチ・ナウ
2009.04.13 原油価格の行方
昨年7月、原油価格(WTI、期近物)が147ドル/バレルを記録した時、誰が現在の原油価格を予想したであろうか。国内外の著名な石油アナリストもこの事態は予想していなかったようである。それほど、原油価格の予想は難しいのである。
原油価格の予想と言った場合、短期的な予測(〜1年程度)と中長期的な予測とがあるが、原油価格は最近ボラティリティを高めており、中長期的な価格予測のみならず、短期的な値動きを予測することさえ非常に難しくなっている。そもそも原油とは、物理的な商品としての側面と、金融資産としての側面があるが、近年後者としての性格が強まってきており、ボラティリティを高める要因の一つとなっている。
原油には商品としての側面もあると言ったが、これも他の商品と違って、一筋縄で表現できるものではない。第一に、原油の場合、需要の価格弾力性が非常に低い。世の中に原油ほど使い勝手のいい一次エネルギーは存在しないため、価格が多少上昇したところで需要が大きく減少するものではない。第二に、新規油田の発見が困難なことや生産に至るまで多大な時間・コストを要することから、特に2〜3年の時間軸で考えた場合、供給の価格弾力性も非常に低いと言える。さらに、原油市場には、供給者としてOPECというカルテルが存在しており、極めて政治的に動くため、市場メカニズムが働きにくいという側面もある。
このように、原油価格を予想するには、複雑なファンダメンタルズ要因(需給要因)を分析しなければならない上に、金融要因も考慮に入れなければならない。従って、原油価格の予想は、ごく短期の予測であっても極めて困難と言えるのである。
しかしながら、あえてここでは中長期的な原油価格の行方について予想を試みてみる。
中長期的な原油価格の傾向を見るには、ファンダメンタルズ要因に注目するのが妥当であるが、大きく4つのシナリオが想定される。即ち、需要も供給も増大する場合、需要は増大するが供給は減少する場合、需要は減少するが供給が増大する場合、需要も供給も減少する場合である。どのシナリオも今後起こりえるが、このうち、需要は増大するが供給は減少するという可能性が最も高いのではないかと考える。
具体的に言えば、新興国の原油需要が長期的に増大する一方、供給は頭打ちになるということである。従って、原油価格は再び上昇する可能性が高い。このことは、中国の動きに注目するとわかりやすい。そもそも昨年夏の原油高騰に至る契機となったのは、2004年に中国の原油輸入量が大幅に増加したことと言われている。これを契機に原油価格の上昇を期待し、多くの投資家が原油先物市場に参入してきたのである。また、昨年夏の原油価格のピーク時であるが、原油先物市場において投機行動が活発化していた一方で、中国が北京オリンピックに備え、原油や軽油を大量に調達しており、需給環境に大きな影響を与えていた。現在のところ中国の原油需要は落ち着きを見せているものの、今後予想されるインフラへの投資に伴い数年のうちに原油需要が再び増大していくものと考えられる。その時になって原油の供給を増やそうとしても、上述の通り、急に増やせるわけではなく、価格は上昇しやすくなるであろう。原油価格がある程度上昇すれば、非在来型原油(カナダのオイルサンド等の高コスト原油)を開発しても採算に合い、供給は増加するであろうが、そうなるまでには時間がかかる。いずれにしても、中国等の新興国の需要増大に伴い、高コスト原油の開発が必要な状況となり、原油価格はじりじりと上昇していくと考えられる。それに対し、金融市場の投資家たちはどう反応するか。昨年夏ほどではないにしても、景気回復の動向次第では、原油等への商品投資ブームが再び巻き起こる可能性も否定しきれない。