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サーチ・ナウ

2009.04.13 平成不況を超えて進化する市町村計画

研究開発第2部(名古屋) 部長 兼 主任研究員 中丸 忠

1 市町村計画を巡る時代背景の変遷
 金融危機に端を発し輸出産業等の実体経済に大きな打撃を与えている今回の深刻な不況。税収の落ち込みなど行政へも大きな負の影響が及ぶことは必至であり、これまでも財政難に苦心惨憺してきた国や自治体にとって、先行きは見通しがたい情況となっている。私たち住民にとって最も身近な行政組織である市町村も5年、10年といった先を見越した計画が立てることが難しいと思われる。
 現行の市町村総合計画制度が生まれた1970年前後は、毎年10%を超える高度成長が続いた時期であった。税収も伸び、国からの支援も徐々に充実し、計画を立てた時よりも実際の執行時において、より財源が豊かであることもあった。計画に沢山の夢を盛り込み、その実現の喜びを市民と分かち合えた幸せな時が続いた。その後も、〇〇ショックや不況といわれた時期もあったが民間経済は総じてプラス成長を続け、市町村も借金を重ねながらも計画的な行財政運営を続けることができた。
 市町村計画は、発展するまちの将来の姿を市民にわかりやすい形で示すという意義があり、また、国の縦割り行政の余波を受け全体像が見えにくかった市町村行政を首長のリーダーシップのもとでまとまりを持たせるということにも一役買ってきた。そして近年の財政難の状況下にあっては、総花的な行政から施策の選択と集中へと転換を図ることや個々の施策の評価、住民への説明責任を果たすという役割も担っている。
 その市町村計画が非常に作成しにくい状況に陥っているようだ。今回の不況は、100年に1度といわれるが、ボーダレス化した世界経済を飲み込む未曾有のものであり、また日本においては、高齢化が本格化する時期に遭遇したものである。国内経済が回復する道筋は紆余曲折が予想され、市町村も高齢化に伴う財政負担増と不況や働き手の減少による財源不足に頭が痛い最中での事態であり、中長期の事業計画を具体的に描くエネルギーが一層枯渇しつつあるように思われる。

2 役所の計画から地域づくりのマニュアルへ
 高齢化等の影響は、行財政面だけでなく、まちの姿・形や住民の暮らしにも大きな影響を与える。例えば、
 〇ニュータウン、都心部のマンションに空き家,空室が増える
 〇郊外の大規模ショッピングセンターにたどり着けない交通弱者・買い物弱者が増える
 〇お年寄りが頑張ってきた田畑が荒蕪地となる
 等である。市場原理に任せるならば、伸びるものは伸びる、廃るものは廃るですむのであろうが、一度壊れた社会を立て直すのは大変だ。地域の力が残っている間に少しでも良い方向にもっていくということは意義のある試みだ。
 今後の市町村計画は、これまでの金の出し手としてのスポンサースタイルでは、貧弱なプランしか描くことはできない。事業主体から、コーディネーターとしての役割にウェイトを置き、先見性と手順の確かさで勝負すべきだ。
 例えば、切迫した課題である公立病院については、経営の現状を提示し、廃止、民営化、機能見直し等の選択肢と長短を整理し、市町村として考え方を示し、負担増等いやなことを含めて住民意思の統合を図り行動に移す、というアプローチを市町村計画に載せてみるというのはどうだろうか。
 また、地域のポテンシャルを総合的に活用するという発想に立てば、農地を集約して法人が営農し、その収益の一部を病院の運用費用に当てるといった産業と医療の連携を仕掛ける方法もあろう。
 同様に空き家、空き地を地域NPOが委託を受け管理し、賃貸住宅や有料駐車場として活用、地域住民に雇用の場を提供する。賃貸住宅を保育園や老人向け施設として活かすことも一案だ。方法や法的関係を行政がアドバイスすることになる。
 こうした地域への提案を盛り込むことによって、役所内の業務計画から地域づくりのマニュアルへと市町村計画の位置づけを大きく転換してみてはいかがか。この中から成功事例が生まれれば、良い手本となり、他の地域への普及定着を促すことになろう。

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