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サーチ・ナウ
2009.04.27 リニア中央新幹線が引き起こす地域の論議に期待
2007年12月にJR東海は、夢のプロジェクトとされたリニア中央新幹線計画について、2025年開業を自社単独事業として目指すと宣言した。この背景には、国や地方自治体の台所が火の車で費用の負担を期待できないこと、第一フェーズとして品川〜名古屋を直線ルート(290?q)で整備すれば整備費は約5兆円に抑えられ(当初は10兆円を要するとも言われた)、経営の健全性が確保できると見通されたことなどが挙げられる。
この発表に対して国は、全国新幹線鉄道整備法に基づき、輸送需要や建設計画などに関する5項目の調査を指示した(2008年12月)。このことで、当面は法に則して事業を進める環境が整ったわけだが、にわかに物議をかもしだしたのが地方自治体である。JR東海は、両端駅(品川と名古屋)のみを自社負担で整備することとし、中間の駅は地方自治体による請願駅方式をとる姿勢を鮮明化しているためだ。駅を整備したい各県は、何とか費用負担についてJR東海と調整したい。また長野県は、南アルプスをトンネルで貫く直線ルートに待ったをかけ、諏訪地域まで北にルートを引き上げたい意向だ。
当社では、応用一般均衡型経済モデルを用いてリニア新幹線の経済効果を試算した。品川〜名古屋を整備すれば10.7兆円、品川〜大阪を整備した場合には16.8兆円の経済効果(50年間の便益現在価値)が発現すると試算された。この試算を活用すれば、長野県が主張するルートにすると、整備費が1兆円増加して経済効果が2兆円減退するため、純便益(便益−費用)で3兆円の損失が生じることとなる。我が国の経済の活性化を阻害することがないよう合理的な合意形成を期待したい。また、地方の中間駅も経済効果見合いで論議される必要がある。リニア中央新幹線の経済効果は、大都市圏を中心に発現することが予想されるため、自治体が巨額の費用を負担して駅を整備した場合のリターンの有無については、個々に慎重な検討が必要である。むしろ、大都市圏が享受する多様なリニア効果を、自県に誘導すべく戦略を講ずることが必要で、駅の整備が目的となっては近視眼的であり県民不在となる。
経済が冷え込む中で、夢のあるプロジェクトは大いに歓迎すべきである。さらに重要なことは、こうしたプロジェクトを活用した地域の発展論が活性化し、我が国全体の国際競争力の向上に繋がっていくことである。リニア新幹線がこうした論議を巻き起こすことを期待したい。