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サーチ・ナウ
2009.06.08 「生物多様性と企業」にピンと来ない方へ
経団連が3月に「日本経団連生物多様性宣言」を発表した。経団連の宣言の文面を見ると、「自然循環と事業活動との調和」、「生物多様性の危機に対してグローバルな視点」、「資源循環型経営を推進」などとあり、一見したところ、これまでの「環境保全、自然保護」との違いがわからない人が多いのではないか。また、環境先進企業が相次いで生態系や生物多様性保全についての指針を発表しているが、これについてもピンと来ていない人が多いのではないかと思う。
来年、生物多様性条約COP10会議が名古屋で予定されていることもあり、今後「生物多様性」という言葉を耳にすることがさらに増えるであろう。生物多様性の重要性は別の説明に譲るとして、ここでは2つのポイントを押さえておきたい。
1つは、「生物多様性(生態系)保全」は環境問題の1メニューではなく、これまでの環境問題の進化形として捉えるべきものであることだ。
かつての環境問題は、直接健康に被害を及ぼす公害問題が中心であった。その後、持続可能な発展のためには、地球規模や長期的な視点も必要と気づき、(今の領域での)環境問題に取り組むようになった。さらに人類の知見が高まった今、生物多様性なしでも持続可能な発展が望めず、しかもその多様性が想像を超えるスピードで失われつつあることがわかってきた。これまでの環境対策に生態系・生物多様性への配慮も加えた、新しい範囲での(深い)環境保全が、生物多様性保全なのだ。我々がかつて環境の恩恵に気づき、初めて環境問題に取り組み始めたと同じように、今、生態系の恩恵、生物多様性の重要性に気づき、その保全に真剣に取り組もうとしているのである。
生物多様性の言葉を環境に置き換えても違和感がなく、その対策の枠組みも環境対策のそれと大差ないのは、生物多様性保全が環境保全の進化形であるからなのだが、その中身はずっと深いことを肝に銘じておく必要がある。
2つめは、遺伝資源の利益配分について議論が国際的にホットなことである。いまや遺伝資源は、製薬や化学の分野のみでなく、エネルギー、環境浄化、生分解性プラスチック、食品など幅広い分野で活用されている。遺伝資源の経済的価値が高まる中、遺伝資源を豊富に保有する開発途上国と、遺伝資源を利用とする先進国の対立の構図が出来つつあり、COP10では、遺伝資源の価値をどのように評価し、利益をどう分配するかという国際的枠組みについて、まさに議論される予定だ。遺伝資源を利用する企業においては、十分な配慮が求められると同時に、コスト増リスクを想定しなければならない。
公害問題の前の時代、大気や水質を無制限に汚しても咎められなかった。温暖化問題の前には、二酸化炭素を無制限に排出しても咎められなかった。が、今は違う。同じようにこれからは遺伝子資源も無配慮に使用できなくなるのだ。
以上の2つを押さえておけば、これから増える生物多様性・生態系保全関連情報について、理解をしやすいことと思う。