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サーチ・ナウ

2009.06.15 「行政実務における効率化のススメ」

公共経営・地域政策部 主任研究員 左近 靖博

 バブル崩壊期以降の経済情勢の悪化とそれに対応した景気対策目的の地方債の増額発行や、いわゆる三位一体の改革に伴う地方財政制度の改革、そして近年の経済危機に端を発する急速な景気悪化などの影響もあり、地方公共団体では目下、行財政改革を進めることが最重要課題の一つになっている。自治体財政健全化法の指標の基準をクリアすることを視野に入れた上で、次年度(平成22年度)の予算が本当に組めるのか、という状況に追い込まれている団体も少なくない。また、以前の様に首長選挙において「目玉」となるような施策や施設等の整備等の方針を現実には打ち出せない状況が趨勢ではないだろうか。
 このような状況の中、地方公共団体においても数年来の努力が継続して実施されており、その主たる内容は、国の指示の下、各団体において策定されている、いわゆる「集中改革プラン」に示されている。ここでは主に、施策・事業の見直し(廃止、縮小)や、アウトソーシングを中心とする「行政の外部化」、外郭団体との関係見直し、職員定数縮減や人件費等の削減などに関する実施方針が示されている。また、これらの予算削減を意図した改革と平行して、前向きに改革を捉える動きとして、業務改善運動や官民のパートナーシップ(PPP)の推進などを積極的に進めることで、新たに活路を見出そうとする団体も少なくない。しかし、このような地方公共団体の努力にも関わらず、現実は非常に厳しい。一言で言えば、これらの取組みのみでの改革は限界に達しており、組織内部におけるモチベーション低下など疲弊の色が見て取れる。これは、インプット、すなわち歳出予算をいかに減らすか、という視点のみでは改革が限界に達していることを示唆している。
 ここで、「アウトプット・アウトカム÷インプット」という効率化の概念について少し整理してみたい。(1)インプット(予算)を減らす、ということは、分子が同じであれば分母を縮小することであり、当に効率化そのものに該当する。しかし、効率化は予算額を減らすことのみではない。(2)分母部分に当たる、このインプットを一定に、分子、すなわちアウトプットやアウトカムなどを改善させることも効率化に値する。更に言うと、(3)インプット部分を歳出予算のみに限定しなければ、施策や事業、サービスに投入する時間の縮小や知識・情報の高度化、そして、それらの結果としてサービスの質(アウトプット・アウトカム)が高まること等も、効率につながる。民間企業では、市場での競争を進める中、(1)のみならず、(2)や(3)も併せた視点から効率化方策を模索している。いわゆるNPMによる改革の考え方は、「民間企業において成果を挙げた改革手法を行政運営に取り入れる」ということが、そのエッセンスにあるが、今改めて本気に『民間経営から学ぶ』という姿勢と行動、特に(3)の視点による事務系部門(ホワイトカラー)の改革が真に求められる、と筆者は考えている。
 では、具体的にどのように手法を用いれば効率化が実現するのか。ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)や、それを基にした業務の自動化や標準化、ベンチマークなどが代表例に挙げられる。また、組織やチームに着目すれば、(3)の視点の手法の代表例である、ナレッジ・マネジメント、チーム・ビルディング、コーチングなどがある。いずれも「コスト縮小・時間短縮」と「質の維持向上」の両立を求めるものであり、その運用面の特徴を要約すれば、「数値による明確な目標水準の設定」と「それを達成するコミットメント」にある。サービスが、そして組織が生き残れるかどうかの真剣さが、これら共通点の背景にある。ここから我が国におけるNPM改革の第二幕がスタートすることを切に期待している。

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