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サーチ・ナウ

2009.08.31 サーチ・ナウ:霞ヶ関に革命は起こるか

研究開発第2部(大阪) 主任研究員 今西 一憲

 本稿を書いているのは8月31日、歴史的な総選挙の翌日である。「官僚による政策運営」から「政権与党による政策運営」への大改革が本当に実現するのか、多くの国民が注目している。容易ではないが、国民の選択が明確になった以上、もう避けられない途である。この改革が実現すれば、「明治維新」、「戦後改革」に並ぶ第三の大きな転換期になることは間違いない。私は大学卒業後約8年間霞ヶ関で勤務したが、本稿ではその経験をふまえつつ今思うことを記したい。
 国家公務員となって配属された初日の人事担当者の訓辞が忘れられない。「君たちは判断のプロフェッショナルにならないといけない。評論家になってはいけない。今日からそのつもりで仕事をするように。」
 また、ある日、大臣以下の幹部職員が出席する省議で大臣が言われた。「先週の省議で私が言った事はどうなったんですか。全然反映されていませんね。」その後、誰からも反応がなく、何事もなかったかのように省議はそのまま進行された。
 中央官庁の幹部職員は「政策について判断すること」、「与党や関係団体と調整すること」が仕事のすべてといっても過言ではない。また、与党との関係においても阿吽の呼吸があり、真に重要なことは事前に与党の了解を得る必要があるが、特に問題がない範囲については省庁の中で自己完結的に政策を進めてきた。
 今後はこの方式を止めるということであるから、中央官庁の組織のあり方や幹部職員のミッションを根本的に変えていくことが必要である。「判断しなくてよい局長や課長」はありえないのである。幹部職員に政治的任用を大幅に増やすことも選択肢となるであろう。
 また、法律等に基づいて設置されている審議会等の諮問機関は、学識経験者や関係者が専門的な立場から議論を深める場として重要なものである。中には官僚のシナリオ通りに進行されていたものもあるが、自由な発言が飛び交う審議会等も多い。政権交代によってどのような変化が生じるのか。
 一方で、政権与党の議員が各省庁に大臣をはじめとする政策責任者として配属されるとしても、その人数は1省庁あたり10名程度と言われている。この人数で主要な政策判断や関係者との調整を担うことは、超人でもない限り、まず不可能である。また、国会が始まれば連日のように野党から大量に出される質問に対する答弁を誰が書くのか、誰がチェックするのか。クリアしないといけない実務的な課題は多い。
 私は官僚の役割を否定するつもりはない。長年築かれてきた専門分野の知見やノウハウの蓄積、関係者とのネットワークなどは政策形成に不可欠な要素である。しかし、その向かってきた方向が国民の感覚や利益と乖離している場合があること、特に「自分達の組織にとっての利益優先」になっていること、例えば必要性の乏しい公益法人を次々に設立し、税金を投入してきたことなどは大いに見直すべき点である。
 その上で、政権与党が政策判断の責任を持ちながら、官僚の持つ知見や組織力を上手く使っていくこと、これが霞ヶ関改革の方向性ではないかと思う。

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