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サーチ・ナウ

2009.12.07 「ずらし表」でわかる年代別人口移動

政策研究事業本部(大阪) 主席研究員 伊坂 善明

 地域の計画を作成する時、人口の分析を行うのは、当然のことである。国勢調査の結果を用いて、人口総数の増減から始まり、年齢コーホートによる分析、そして将来人口の予測など、地域の現状から将来を占うために、非常に便利な統計である。
 今回は、その人口統計を用いて、一工夫をすると、見えていなかった事実が見えるようになる、そんな例を紹介したい。(もちろん、筆者は仕事でよく活用している)
 まず、ある年の人口の5歳階級別データと、5年後の5歳階級別データを並べる。次に、新しい方のデータ(例えば「5〜9歳」の人口)から、5年前の一段上に「ずらした」データ(つまり「0〜4歳」の人口)を引いた数値を出す。それを全ての年齢階層で繰り返して行う。筆者はこれを勝手に「ずらし表」と命名している。たったこれだけのことだが、ここに計算されたデータは、ある都市の年齢階層別の流出流入の数(厳密には死亡による減少も含んでいるが)を示しているのである。つまり、ある都市に、どの年代層が流入してきているのか、あるいは流出しているのか、その程度を明確に数字で表すことができることになる。このデータは、産業政策や都市政策、住宅政策など自治体の政策や戦略を検討する上で、おおいに役立っている。
 以下に、関西の主要な3都市と東京特別区(以下「東京」と記述)を例に、算出した結果を図示している。この図は、各都市の2005年と2000年の国勢調査のデータを用いており、横軸は2000年時点の年齢階層を示し、縦軸はその人口が2005年になった時、どれだけ増減したかの増減数を示している。

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 これによって、いろいろなことがわかる。例えば、15〜19歳が5年上がる時期と言えば、大学に進学したり、高校を卒業し就職したりする時期であり、東京を始め大学の多い大都市には多くの若者が流入していることがわかる。次の20〜24歳は、大学を卒業して就職する時期であるが、東京は引き続き多くの若者の流入があるものの、関西の都市は、大阪でほぼゼロ、京都市の場合一転して大幅な流出となっている。東京は、その後の年代も40歳代前半まで、暫減しながらも引き続き流入していくのに対し、関西の各都市は、神戸市が30歳代で、わずかに流入している結果が読み取れものの、大阪、京都ともに、流出傾向が続く。このあたりの年代では、市外に住居を求める傾向が強いと予想される。
 40歳代は、どの都市においても、人口の移動が、非常に少なくなる。子供の教育の関係などで、転居が行われにくいことが関係していることも想定される。
 しかし、40歳代後半からは、どの都市も共通して、徐々に流出傾向が強まる。特に、50歳代後半以降の東京の流出規模は、かなりの規模で、退職に伴う転居の増加と見られるのではないだろうか。
 このようにライフサイクルと都市の関係を、数値で示すことができて、おもしろいことが発見できそうである。皆様も一度、試してみたらどうだろう。

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