ホーム > 政策研究事業 > サーチ・ナウ > サーチ・ナウ:地方が目指す小さな政府に方針転換は起きるのか
サーチ・ナウ
2010.01.04 サーチ・ナウ:地方が目指す小さな政府に方針転換は起きるのか
国の「事業仕分け」は、公開の場で事業の必要・不要を論ずる行政刷新手法として注目を集めたが、地方自治体からみるとやや空虚感があったのではなかろうか。各分野の事業に潜む無駄にメスを入れ、「廃止」、「削減」、「地方への移管」などのレッテルを貼ったわけだが、事業費の削減は地方自治体では既に相当程度進められているし、これに伴い職員定数の削減も相当に進んでいるため、地方への移管と位置づけられても受け皿側の体制は加味されておらず、地方の改革との整合が取れるのか懸念される。つまり、地方が進めている行革との一体感に欠けるとの印象を持つのである。
地方の行革は、多くの自治体が既に20年以上の歴史を重ねて定数削減や予算の縮減に取り組んできており、目に見える定量的な行革成果は出難い局面に入っている。この間、「官から民へ(小泉政権)」との合い言葉の下、民間委託、PFI、指定管理者制度、市場化テストなど(以下、PPP)を推進してきている。即ち、地方自治体は一貫して「小さな政府」に向けた取り組みを重ねて今日に至っているのである。そして現在も地方自治体の行革は「待ったなし」の状況であるため、更なる歩みを進める方向を模索している。
こうした地方自治体における行革の取り組みの中で、今日的な2つのキーワードに遭遇する。第一は、「行き過ぎた資本市場主義への反省」である。PPPは、行政サービスの担い手として民間のノウハウに委ねていく制度であるが、民間に任せたが故に行政サービスが望ましくない状態になる事への危惧を意味する指摘であり、具体的にはセーフティネット機能を民間に委ねると同機能が弱体化する場合があることへの反省である。これに対しては、民間に委ねるべき事業領域を精査し、民活手法の導入に際しての適合性の判断をより適切に行うべきとの対応方針が立つ。
第二は、「新しい公(おおやけ)」である。従来のように行政の費用とマンパワーだけで全ての公共サービスを展開していくことが困難であることに鑑み、NPOや企業、さらには地域住民やコミュニティも担い手として位置づけ、この新しい担い手に委ねる分野の確立を模索していこうとしているものである。
これらの2つのキーワードは、いずれも地方自治体が多様な主体と協働しながら公共サービス水準の維持・向上を図ろうとするものであり、即ち、小さな政府への指向は不変と捉えることが自然である。つまり、地方にあっては弛まぬ行財政改革に向けた努力を続ける中で小さな政府を依然として目指しているのである。一方、新しい政権は、大きな政府へと舵を切るとも受け取られている。その下で、地方自治体にどのような舵取りを示唆し、いかなる方針変更を求めるのであろうか。少なくとも事業仕分けからはそのメッセージは伝わってきていない。我が国の政府は、国と地方の各々においていかなる方向を目指すのか。中央政府の指針提示が遅れると、地域主権改革に向けて不協和音が生じることに留意が必要である。