ホーム > 政策研究事業 > サーチ・ナウ > サーチ・ナウ:地方公共団体の外郭団体に経営改革を
サーチ・ナウ
2010.05.24 サーチ・ナウ:地方公共団体の外郭団体に経営改革を
地方公共団体に大きな転機が訪れている。「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(以下「地方公共団体財政健全化法」という。)」が2009年4月1日から全面的に施行され、概ね1年を経た。この法律は、早期健全化基準、及び財政再建基準の2つの基準により地方公共団体の財政状況をチェックし、早期の財政再建を図る制度であるが、普通会計だけでなく、地方公営企業や公社・第三セクター等(以下「外郭団体等」という。)にまでチェックの対象を拡大している点に特徴を持っている。
これと連動し、「第三セクター等の抜本的改革等に関する指針」が2009年6月23日に総務省から出された。当指針では「一般会計等のみならず、第三セクター及び地方公社、並びに地方公共団体が損失補償等の財政援助を行っている法人その他地方公共団体がその経営に実質的に主導的な立場を確保していると認められる法人(以下「第三セクター等」という。)を対象」とし、「必要な検討を行い、第三セクター等改革推進債も活用し、存廃を含めた抜本的改革を集中的に行うべきである」としている。
この地方公共団体財政健全化法の導入を契機に、外郭地方等の存廃を含めた抜本的な改革が求められ、経営改善計画のみならず、経営形態の変更や経営統合等の検討に多くの地方公共団体が着手し出した。
当社にも地方公共団体から外郭団体等の経営改善等に係る相談や支援の依頼が多く寄せられるようになってきた。それぞれの相談・支援の中で受ける経営改善等の問題意識は対象となっている外郭団体等によって異なるが、多くが事後的な対応を求める点で同じである。民営化や独立行政法人化、又は合併や事業譲渡等の経営形態の変更による事業の効率化や、収益増強策やコスト削減策の検討などの経営改善策の立案等である。
どこの外郭団体等においても経営目標がある。性格によっては収益目標ではなく公益的な視点から経営目標を設定している。地方公共団体財政健全化法が施行され、各地方公共団体が強く自立が求められるようになった今、外郭団体等には、自らの経営目標の実現に向けての取り組みや成果、またそのために費やすコストを経営主体としてコントロールする仕組みが必要なのではないだろうか。公的な性格を持つ外郭団体等が必ずしも財政的に自立する必要はないにしても、少ないコストで多くの成果を上げることが求められる点では民間企業と何ら変わるところはない。むしろ公的主体であれば社会的に要請されているとも言えよう。
外郭団体等の経営改善等の視点として、経営形態等の変更による効率化等や収益増強策やコスト削減策の検討は不可欠である。ただこれらの検討とあわせて、二度と経営が行き詰まらないようにするための、またより発展させていくための企業体としての経営の仕組みの導入が求められている。顧客ニーズを捉えサービスの向上を計っていくためのマーケティング活動、その成果のもとで設定する経営目標やその実現を管理していく目標管理制度、そして成果を評価し組織を誘導していくための管理会計制度や人事制度、さらにこれらの情報を地方公共団体や納税者等と共有し次の計画に繋げていくためのPDCA制度などである。
地方公共団体の外郭団体等が経営改善等の対象となっている。事後的な措置の講じることも必要ではあるが、公的ミッションを納税者に継続的に還元していくことのできるよう、外郭団体等の経営の仕組みそのものを見直す経営改革が改めて必要と言えよう。