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サーチ・ナウ
2010.06.23 改めて、地域ブランドづくりに必要なこと
■地域ブランドと地域団体商標の現状
地域産業振興の手法の一つとして「地域ブランド」を構築する取り組みは以前より各地で行われてきたが、2006年4月の商標法改正に伴う地域団体商標制度の導入を契機に、ここ数年活発な動きが見られてきた。筆者は2007年に本欄でその動向について述べている(http://www.murc.jp/politics_c1/search_now/2007/11/sn_071126.html)。
制度導入から4年が経過した2010年3月末時点で地域団体商標の出願件数は933件に達し、うち450件が登録査定されている。出願内訳を見ると農水産一次産品441件を筆頭に加工食品・菓子・麺類等の「食品」が全体の7割近くを占めており、各地での地域ブランドへの取り組みは「地域の一次産品とその加工品のブランド化」が中心になっていると考えられる。こうした取り組みに対しては農林水産省や経済産業省などによる支援が盛んに行われているが、取り組みが拡大するにつれて様々な課題が顕在化している。例えば、「地域団体商標はとったが、その後の管理が不十分」「良いものは作っているが、どう売ればよいか分からず、売れない」「消費者からの評価に関心が薄い」などである(農林水産省地域ブランドWG『農林水産物・食品の地域ブランドの確立に向けて』平成20年3月)。
ここで留意すべきことは、地域団体商標は「ユニークな商品である」「地域固有の商品である」ことを示すかも知れないが「良質な商品である」「優れた商品である」ことを消費者に保証するものではないということである。商標に限らず産業財産権制度は権利者に独占的な実施権を与えるものであるが、言うまでもなく侵害される可能性のない(≒売れない)商品の権利を保護する必要はない。ブランド価値を自ら創造できるような「売れる商品」になって初めて商標等により排他性を確保する必要が生じるのであり、すなわち地域団体商標の登録は「地域ブランド化」と同義ではないのである。
■地域ブランドに必要なこと
極論ではあるが「地域ブランド化」とは一義的には「売れる商品づくり」であり、しかも地域に波及するブランド価値を創造するという目標に立てば「長期的に売れる商品づくり」である必要がある。これはコンビニエンスストアの取扱商品に代表されるように製品ライフサイクルが短命化している現代では容易なことではないが、それでも一過性のブームとなるような商品、爆発的に売れる商品を目指すのではなく、着実に長く売れる「地域発ロングセラー商品」を生産・供給することを目標とすべきである。そのためには、商品が普遍的で不変の価値を有することと、その価値を評価して長期に顧客となってくれる消費者を明確化した上で確保することが必要である。ブランディングとは消費者を選別することでもあり、市場が明確で限定的でなければならないのである。
筆者が最近複数の流通事業者と意見交換をした際には、地域ブランド商品に必要なものとして「他地域の製品に比べて突出した情報力」「生産者の想いや製品・地域の背景を表現するストーリー」などが挙げられた。これらの情報やストーリーは商標やパッケージデザインとして、あるいは販促ツールにおいて可視化することが必要であり、またそれらを「あきらめずに発信しつづける努力」の重要性も指摘されている。
ブランド価値の獲得は一朝一夕でできるものではない。長期的な視点に立った製品開発と市場の獲得を考慮すべきであるし、そのような取り組みをサポートしていきたいと考えている。