2001年10月19日
○今回の景気循環局面ではIT需要と景気との連動性が強く表れており、半導体生産と鉱工業生産の前年比の動きが一致している。半導体や電気機械の生産が鉱工業生産に占める割合が高まるにつれて、その動向が景気全般に与える影響度も高まっている。
○90年代に入ってシリコンサイクルがなくなったと言われていたが、今局面で半導体生産は大きなサイクルをつけている。これは、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の普及によりセットメーカーの在庫圧縮が進む一方、部品の需給逼迫期には仮需要が膨れ上がりやすく、在庫の変動幅が増幅されたためである。
○半導体生産の落ち込みが足元までのマイナス幅で推移すると仮定すると、2001年度の半導体メーカーの設備投資が半減し、わが国の設備投資額は0.9%減少する。周辺業種への波及効果も含めると鉱工業生産が2.3%減少し、設備投資の減少幅は4.0%に拡大する。
○今回の半導体生産の調整は出荷在庫バランスや生産の落ち込み幅からみてかなり大きなものである。しかし、足元の出荷在庫バランスは改善基調にあり、北米地区のBBレシオ(=半導体製造装置受注/半導体製造装置出荷)は受注の下げどまりから底打ちしている。これまでもBBレシオと出荷在庫バランスの底打ちのタイミングはほぼ一致しており、生産への先行性を考えると底入れ感が高まっている。
○半導体の先行きの出荷動向は需要の5割近くを占めるコンピューター向け、1割強を占める携帯電話向けの動向にかかってくる。携帯電話は調整過程にあるものの、テロ事件の影響はあまり受けず、日欧に比べて米国の普及率に上昇余地があることや発展途上国での成長も見込まれ、再び上昇に転ずるであろう。コンピューター需要の3割を占める米国では、中心となる企業部門での調整が続く。情報関連の資本ストックに過剰感があり、純投資の減少が続きそうである。ただ、ストックの拡大を背景に更新投資が増加するため、法人需要の落ち込みはしだいに落ちついてくる。また、個人の需要は消費者マインドの落ち込みが下押し要因となるが、保有台数が増加しており、買い替え需要は底堅い。
○もっとも循環的な回復局面がきても短期的には半導体の大きな反発は期待できないであろう。中長期的には半導体需要は家電からパソコン、そして携帯電話と徐々に用途が広がってきている。今後も、デジタル家電やITS機器など新しいマーケットを見つけて半導体需要は伸びることになろう。
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