2003年3月25日
〜原油価格・軍事支出・復興費用などの影響〜
○イラク攻撃が経済に及ぼす影響を考える上では、第一義的には米国経済への影響を推量する必要がある。そこで本レポートでは対イラク戦争が短期で終結する場合と長期間に及ぶ場合に分けて、その影響の大きさを試算してみた。
○戦闘が2ヵ月以内の短期で終結する場合には、原油価格の上昇と株価の下落に歯止めがかかり、戦闘後に景気は上昇するとみられる。一方、戦闘がもっと長引く(3〜6ヵ月程度)場合には、景気への下押し圧力は大きそうだ。戦闘の長期化は軍事支出の拡大と原油価格の高止まりを招き、株価は下落する可能性が高い。戦闘期間が6ヵ月にも及ぶ場合には、2003年の実質GDPが1.2%程度押し下げられ、景気後退に陥る可能性が高い。
○もっとも、イラク攻撃が短期で終結する場合でも、米国経済のリスクとして、(1)戦闘中に油田破壊が発生するなど原油供給に支障が生じることで原油価格が上昇するリスク、(2)国際情勢の緊迫やテロ再発懸念などから金融市場が不安定となるリスク、などが考えられる。
○戦闘後のイラク復興費用を含めた戦費は米国の財政赤字を拡大させる要因となる。今後連邦ベースの財政赤字は名目GDP比4%と、90年代前半の水準に拡大する見通しである。米国の場合、1,000億ドルの財政支出拡大は長期金利を0.5%程度押し上げ、そのデフレ効果は財政支出による所得効果を上回ると試算される。2003年中は元々景気の回復力や企業の資金需要が弱いことから、長期金利の上昇は限定的とみられる。しかし他方で、国債発行額の増加によりドル安を誘発することが懸念される。試算によると、財政赤字が拡大すると、半年程度後にドル安圧力が高まるという結果となった。
○株価の下落により景気が悪化すれば、金融面では、約40年ぶりの低水準となっているFF金利が一段と低下する可能性もあり、その程度いかんでは米国がゼロ金利に陥る可能性も否定できない。米国経済が金融・財政の両面で政策発動の余地が狭まるなか、国際情勢の緊迫やテロ再発などの新たなショックが加わった場合に金融市場が不安定となり、世界経済に悪影響が及ぶことが懸念される。
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