2002年5月10日
−中国からみた自由貿易圏構想(事例研究)−
○中国は、ASEAN、香港と自由貿易圏創設で合意しているほか、ロシア・中央アジアとも安保協力機構をベースに経済協力を拡大させようとしている。中国の対外経済戦略がアジア経済全体の先行きに大きな影響を与える可能性が出てきた。
○ ASEANとは、10年後をめどに自由貿易圏創設に向けた交渉を開始することで合意した。2010年代に世界人口の30%、世界GDPの10%の巨大市場が浮上する。交渉は、貿易・投資に加え、技術や人材、農業、サービス業、環境など多岐にわたるが、「協力・促進」による緩やかに統合された経済圏を目指す模様。ただし、ASEAN側の中国との自由貿易圏に対する足並みはそろっていない。
○香港とは、すでに数回の協議が開かれ、サービス、投資、競争など幅広い分野を対象として自由貿易圏を創設することで合意した。香港経済のテコ入れが大きな目標で、すでに一体化が進んでいる生産分野に加えて、香港の得意分野であるサービスなども一体化を進めようとしている。多国籍企業が根付く香港にとって「香港企業」はどこまでの範囲かという議論があり、曲折が予想される。
○自由貿易協定の経済効果は、貿易の拡大やそれを通した成長率のかさ上げが期待できる。ただし、世界的な自由貿易へのわく組みであるWTOでも関税・非関税障壁が引き下げられるため、実際の効果は限定されよう。しかし、自由貿易協定で主導権を採ることは、WTOの新交渉にも影響力を持つことになる。中国は、自由貿易協定を通して「途上国の代表」として台頭する可能性がある。
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