2002年6月10日

原油価格見通し

補論:ロシアの増産が原油価格へ与える影響について


○2001年の原油価格(WTI)は、世界景気の後退が続いて、原油関連在庫が積み上がってきたことを背景に弱含みで推移した。さらに9月の米国テロ事件の発生を受けて世界景気が一段と減速し原油需要も低迷するとの見方から、一時17ドル台まで急落した。その後、2002年1月からOPECと非OPEC産油国が協調減産を実施したことで価格が下げ止まり、世界景気の回復期待と相まって原油価格は緩やかに上昇、2月には20ドルを回復した。3月以降は、中東情勢の緊迫化を背景に、原油価格は一時28ドル台まで上昇した。しかし、足元では中東情勢の緊張が続いているものの、世界景気の回復期待は既に価格に織り込まれており、原油関連在庫の積み上がりや、協調減産の崩壊などが影響して、原油価格は24ドル台まで反落している。今後の原油価格を予測する上でのポイントは、以下の5点に絞られる。

1.世界景気の回復度合いと需要見通し:世界景気の回復力については慎重な見方が多いが、今後も景気回復が持続、需要見通しが徐々に上方修正されるであろう。

2.在庫動向:2002年の原油、ガソリンの在庫は足元では前年より高い水準にあり、今のところ在庫状況が原油価格を押し上げる要因になるとは予想しづらい。

3.OPEC内の結束力:今のところOPEC内では増産に慎重なスタンスの国が多く、2002年中は、現在の生産枠(2170万バレル/日)が維持されると予想する。ただし、OPEC加盟国の国内事情は一様ではなく、ベネズエラ、サウジアラビア、イランを中心に増産圧力が高まっている。

4.非OPEC産油国の増産見通し:OPECが減産で生産量を減らす一方で、生産能力を増強した非OPEC産油国の増産見通しが目立つ。特に、増産が著しいのがロシアである。ロシア産原油の供給量が増加し続ければ、欧州市場を中心に価格下押し圧力が働く可能性がある。

5.中東情勢:中東情勢の緊迫が徐々に収束に向かえば、投機資金の流入によって押し上げられていた価格は落ち着くであろう。また、2002年11月末の「オイル・フォー・フード」更新時にイラクが原油輸出を停止する可能性があるが、余剰生産能力を抱えるOPECが増産で対応するので影響は限定的であろう。

○今後の原油価格は、26ドル近辺での乱高下がしばらく続くが、徐々に中東情勢が収束に向かえば、価格は24ドルぐらいに落ち着くであろう。その後は、世界景気の回復が続いているので、需要見通しの上方修正に伴って原油価格は緩やかに上昇するであろう。ただし、2003年終わりごろになると、OPECの増産や、非OPEC産油国の生産量拡大による供給量増加が価格を押し下げるであろう。

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