2002年7月26日

ASEAN・中国に挑むベトナム経済


○アジア通貨危機後のベトナム経済は、1999年をボトムに回復を続けており、2001年の経済成長率は6.8%と、アジアでは中国に次ぐ第2位となった。経済成長を下支えした要因として注目すべきは、民間企業設立ブームにともなう投資や法人需要の拡大である。共産党政権下で市場経済化を慎重に進めるベトナムで、いよいよ民間セクターの本格拡大が始まった。

○ベトナム政府当局は、為替相場の緩やかな切り下げや、マネーサプライ伸び率抑制など、慎重な財政金融政策を続けており、インフレ率も低位安定している。ベトナムのマクロ経済面の安定については、国際機関・日米欧諸国から高く評価されており、ベトナムに対するODA等の国際支援が順調に拡大している背景となっている。

○ベトナムは、GDPに占める輸出の比重が高く、輸出のパフォーマンスが経済成長率に大きく影響する。民間セクターを中心に内需が盛り上がっているとはいえ、今後、輸出が期待どおりに伸びない場合には、経済成長率は下振れする可能性がある。

○2000年7月にベトナム初の証券取引所が開設され、株価指数は1年で6倍近く上昇したが、株式ブーム終焉で株価は下落し、かわって不動産投資ブームが生まれつつある。土地取引規制緩和で都市部を中心に地価の上昇が目立っており、バブル発生の懸念も出ている。

○ベトナム共産党指導部人事は派閥均衡型であり、中国やロシアのような強力なリーダーシップを持つ指導者は出てこない。このため、ドラスティックな政治的変化の起きる可能性は低く、市場経済化や経済開放が著しく加速するとは考えにくいが、反面、国内政治に安定感があり、外国投資家のベトナム再評価につながっていることも事実。

○ベトナムへの外国からの直接投資は、アジア通貨危機後に急減したが、近年は、台湾や香港の労働集約型企業等を中心に再び増加している。ベトナムへの外国投資回復の理由は、外国投資家が、タイ、マレーシアのコスト高とフィリピン、インドネシアの政情不安を嫌い、また、中国一極集中リスクの分散を図って、ベトナムに投資をシフトしたためである。

○昨年の中国WTO加盟と2003年のAFTA(ASEAN自由貿易圏)関税引下げ実施により、ベトナムはいよいよ周辺諸国との本格的な競争に直面する。今後もベトナムは、中国に対しては、中国一極集中のリスクヘッジ先として、ASEANに対しては、政治情勢の安定性と低賃金を武器に、投資先として競合・共存していくことが可能であろう。

[PDF] PDFファイルで 図表入り全文を提供しています。(156KB)

[Back]