2002年10月18日
○原油価格の上昇が続いている。WTI原油価格(期近物)は8月に約1年6ヵ月ぶりの高値となる30ドルをつけた。足元でも、イラク攻撃を巡る思惑に加えて、米国の民間原油在庫の減少や、OPECが9月総会で生産枠を据え置いたことなどが影響して、引き続き30ドル近辺で推移している。
〇足元の価格高騰の一因は投機マネーの流入である。投機筋のポジションは、中東情勢の緊張が高まった今年3月以降、買い超幅が拡大しており、価格を押し上げている。こうした投機マネーの動きの背景には原油価格に影響すると考えられる、いくつかの要因を巡る思惑がある。
〇2002年末から2003年初めにかけてイラク攻撃が行なわれるとの見方が少なくない。今回の見通しではイラクが国連の無条件査察を受け入れ、大規模な軍事攻撃は行なわれないと想定した。今後の原油価格を予測する上で鍵を握ると思われる5つのポイントについて、以下のように見込んでいる。
(1) イラクの生産動向:上乗せ金廃止により輸出が増加し、原油生産が回復してくる。
(2) 世界景気の動向と需要見通し:世界景気の減速懸念が高まっているが、基調としては今後も回復が続き、需要が拡大するであろう。
(3) 在庫動向:イラクの輸出が増加することや、生産者が需要期を前に在庫を積み増すことなどから、在庫の取り崩しは長くは続かないであろう。
(4) OPECの生産枠拡大のタイミング:OPECは機械的にプライスバンド・メカニズムを発動するわけではないが、2003年にかけて世界景気の回復が続き、需要が拡大してくれば、12月の臨時総会で現状を追認する形で生産枠拡大を決定するであろう。
(5) 非OPEC産油国の増産見通し:原油価格の上昇を背景とした開発投資の増加や、消費国の中東依存度の低下を目指す動きなどを受けて、非OPEC産油国の生産量は拡大するであろう。
〇2003年初めにかけてイラク攻撃が行なわれるとの見方が強まり、今後も原油価格は30ドル近辺での推移が続く。しかし、年明け後も攻撃が行なわれなけば、投機マネーの流入によって押し上げられていた価格はいったん落ち着くであろう。その後は、世界景気の回復力が増してきて原油需要が拡大するものの、OPECの増産や非OPEC産油国の生産量拡大が価格を押し下げるであろう。ただし、2003年中を通じて米国対イラクの緊張関係は残るので、原油価格は比較的高水準で推移する。大規模なイラク攻撃がある場合(リスクシナリオ)には、原油価格は基本シナリオよりも上昇するが、その後は戦争による米国景気の減速もあって下落幅を広げるであろう。
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