2003年1月10日
○与党3党は平成15年度税制改正大綱にて2004年4月から都道府県税の一つである法人事業税へ外形標準課税方式を導入することを決定した。これまで導入具体案としては、総務省が2001年11月に示した案(以下、当初案)が有力視されていたが、今回の税制大綱で決定された導入案(以下、今回案)は、(1)外形標準課税方式の導入対象企業、(2)所得割、付加価値割、資本割の税率、(3)簡易外形方式の有無、(4)各種特例の有無、の点で当初案と異なる。
○利用可能な統計を用いて業種別に今回案による法人事業税を試算すると、建設、化学、機械、卸売、小売、運輸通信公益、サービスの税額が大きい。ただ1社あたりの税額でみると、企業規模が大きい化学、機械、運輸通信公益などが高くなる一方、規模が小さい建設、小売、サービスなどは低くなる。現行制度による税額と比較すると、鉄鋼金属、機械、運輸通信公益の1社あたり税負担が増加する一方、化学の税負担は現行制度よりも小さくなる。なお試算対象業種全体での税負担額は現行制度に比べ約1,300億円(1社あたり5万円)増加する結果となった。当初案と今回案を比較すると、化学を除く全業種の税負担が当初案に比べ低くなる。
○2000年度の企業の収益状況を基準に試算した場合、黒字企業の税負担割合(=黒字企業の税額÷全企業の税額)は、今回案で91.6%に軽減し、赤字企業が残り8.4%(2,597億円)を負担する結果となった。業種別では、赤字法人比率の高い鉄鋼金属、小売などで赤字企業の税負担割合が全産業平均に比べ高い。
○資本金規模別に今回案による税額をみると、外形標準課税方式が導入される資本金1億円以上企業の税額が現行制度に比べ増加する。当初案と今回案を比較すると、外形標準課税方式の対象になるものの資本圧縮特例の対象外である資本金1〜10億円企業の税額が当初案に比べ多い。
○法人所得1%の変動に対する法人事業税の変化額(弾性値)は、現行制度>今回案>当初案、の順であり、今回案による法人事業税は、現行制度と比べれば景気変動(=法人所得の変動)の影響を受け難くいものの、当初案より景気変動に対して感応的といえる。
○法人事業税には、景気変動に左右されず安定的に税収が確保される必要性と、行政サービスを享受する企業に広く負担を求める応益課税の性格がある。今回案による外形標準課税方式の導入は、赤字企業にも税負担を求めるという点で当初の目的をある程度は達成したといえるが、資本金1億円以下の赤字企業は依然として税負担が免除されているほか、景気変動に対する安定性の効果が当初案に比べ小さい。
PDFファイルで
図表入り全文を提供しています。(95KB)