2005年7月28日
〜大幅に拡大する米国の貯蓄不足と3つの余剰貯蓄〜
1.7月のサミット(主要国首脳会議)では世界経済の課題として拡大する世界的な不均衡(貯蓄と投資の不均衡)の是正が挙げられた。世界的な不均衡の拡大とは、貯蓄不足(投資>貯蓄)の国がある一方で、貯蓄超過(投資<貯蓄)の国が存在し、それぞれの不均衡の幅が拡大している状態のことである。最近では米国の経常赤字(貯蓄不足)が拡大しているが、これをファイナンスする経常黒字(貯蓄超過)の国は、(1)輸出競争力を維持する為替政策によって対米輸出を拡大させてきた中国をはじめとする東アジア諸国、(2)原油価格の上昇の恩恵を受けたOPECなどの石油輸出国、(3)米国に比べて内需の成長率が低い日本や欧州等の先進諸国、の3つのグループに分けられる。
2.近年の世界的な不均衡の特徴として経常黒字(貯蓄超過)となっている開発途上国の多くでは経常黒字以上に外貨準備の増加幅が大きい点が挙げられる。開発途上国の国際収支の構造はアジア通貨危機前とは大きく異なっている。
3.世界の通貨当局が保有する外貨準備はその多くが米国債で運用されており、貯蓄不足の米国に資本を安定的に供給する役割を果たしている。昨年末から年初には中国やロシアなどの通貨当局のドル離れが懸念されたが、データを確認してみると2004年はむしろ外貨準備の運用の中で米国債等の運用に対する選好が強まったとみられ、ドルから他通貨へ運用上の大きなシフトが生じた可能性は小さい。
4.今後の世界的な不均衡を考える上では、(1)中国をはじめ外貨準備を大幅に拡大させてきた東アジア諸国の動向、(2)原油高を背景に経常黒字を拡大させてきた石油輸出国の動向、(3)企業部門の資金需要が弱い日本やドイツの動向が各々重要になると考えられる。今般の中国の為替制度の変更(人民元切り上げ等)で世界的な不均衡を大幅に縮小させることは困難とみられる。
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