2005年9月13日
〜 輸出生産拠点としての課題と展望 〜
1.ASEANと中国との自由貿易地域(ACFTA:ASEAN-China Free Trade Area)形成に向けた一般品目の関税引き下げが今年7月にスタートした。ACFTAが、日系企業のアジアにおける一大輸出生産拠点であるタイにどのような影響を与えるかが注目されている。
2.タイのバンコク周辺は、電機電子、自動車業界を中心に中国の華東地域(上海周辺)と並ぶ世界最大の日系企業集積地となっている。反日デモや労働コスト上昇など中国進出リスクが浮上する中で、タイは安心できる投資先として日系企業から再評価されているのも事実である。
3.タイをはじめとするASEAN諸国と中国は競合関係にあると見られがちだが、実際には、ASEAN諸国は中国との分業に活路を開きつつある。例えば、ASEAN諸国から高機能電子部品の対中輸出が急増している。
4.これまでのところ、タイと中国の貿易は「補完」の色彩が強いため、ACFTAによる関税引下げがタイ経済におよぼすマイナス影響は限定的であろう。また、ACFTAでは、自動車・家電などの主要品目の関税引下げ開始時期が猶予されているため、タイの日系製造業にただちに影響が及ぶことはないと見られる。
5.しかし、こうした状況がいつまでも続くとはかぎらない。今後の国際競争激化への対策として、タイは、多くの国々とFTAを結び輸出拠点としての魅力を高めることにより投資誘致を狙っている。同時に、得意分野の強化も図ろうとしており、タイがこうした戦略によって今後も輸出生産拠点として外国から直接投資を引付け成長を続けることは十分可能と考えられる。
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