2005年10月11日
1.ベトナムの貿易を取巻く環境が大きく変わろうとしている。AFTA(ASEAN Free Trade Area)による関税引下げ実施が2006年に迫っており、また、WTO加盟にむけた各国との協議も進み2006年に加盟実現の可能性がある。こうした貿易自由化の加速は、ベトナムにとって、リスクとなる懸念がある一方、チャンスも大きいといえる。
2.ベトナムの主要輸出品目は、原油、水産物などの一次産品や、繊維製品、履物などの労働集約型の軽工業品である。軽工業品は、生産財・資本財の大部分を輸入し、賃加工したものを輸出するという貿易構造のため、付加価値が低い。輸出品の高付加価値化が進んでいないことによる貿易赤字の恒常化は、外貨準備が十分ではないベトナムにとってリスク要因となっている。
3.タイやマレーシアは、1990年代前半には貿易赤字国であったが、近年、電子部品など高付加価値製品の輸出拡大によって、貿易黒字国となっている。ベトナムが、輸出製品高付加価値化の範をこうした近隣アジア諸国に求めるとすれば、外資導入による産業基盤拡充や技術移転促進が不可欠であろう。
4.AFTAやWTOによる貿易自由化に伴って輸入が増加し、ベトナムの国内産業が圧迫されたり貿易赤字が一段と拡大する懸念はある。しかし、そのような側面だけでなく、貿易自由化によって、世界市場でのベトナム製品への関税差別が撤廃されるため、輸出拠点としてのベトナムの魅力が向上する点も見逃せない。折しも、日系企業を中心に、中国一極集中リスクの分散を指向する動きが見えている。この機をとらえ、ベトナムは、外資導入拡大による輸出品の高付加価値化を推進すべきであろう。
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