2000年1月19日
90年代後半の日本経済は、バブル崩壊以降の金融システム不安が顕在化するとともに、家計部門では将来への漠然とした不安感が一段と高まり、民間需要の低迷を通じて厳しい調整局面を迎えることとなった。設備、雇用、債務の3つの過剰はこうした日本経済を象徴する構造問題と位置付けられるが、その他にも財政赤字の拡大には歯止めがかからず、経済全体を牽引する新たな成長産業の出現が待たれるなど、再生に向けた課題は山積している。
こうした状況下で99年はそれまでの景気対策に伴う政策関連需要が下支え役となるとともに、過熱感すらある米景気をはじめ、海外景気の回復が外需の増加をもたらし、景気は持ち直しの様相を呈した。ただ、こうした景気の持ち直しは依然として政策頼みの域を脱しておらず、民需を中心とする自律的な回復の動きからは程遠い。足下での政策効果が剥落したり、在庫調整の進展など循環的な側面から増勢のみられる生産活動が一服すれば、景気は再度失速するリスクがあり、2000年度は軽い調整局面を迎えるとみられる。
一方、景気の自律的回復の兆しが徐々に顕在化するのも2000年度である。2000年度半ばには製造業を中心に設備過剰感が薄れ、設備投資が緩やかながらも増勢に転じる。特に、企業部門については、2001年3月期に始まる企業会計の時価評価への移行、2002年4月に延期されたペイオフ解禁、などを控え、改革が急ピッチで進展しよう。また、米景気が頭打ちとなるものの、欧州、アジア経済の回復が外需の堅調を支えよう。このように、2000年度については、強弱両材料が混在する中で調整圧力がなお根強く残り、実質GDP成長率も0.3%と若干のプラス成長にとどまろう。
景気回復の動きが優勢となるのは2001年度以降である。企業部門では情報通信関連の設備投資が旺盛で改革が進展する。家計部門でも将来不安や所得制約が緩和され、個人消費の回復傾向が次第に明確になる。個人消費の回復が加わることで民需中心の景気の自律的回復がようやく実現し、実質GDP成長率は2001年度が+1.6%、2002年度には+2.7%に達しよう。懸案となっていたゼロ金利政策の解除も2001年度下期には実現しよう。もっとも、家計の将来不安については、薄れることはあっても容易に消えるものではない。また、企業が効率重視の経営を徹底させるため、雇用者数や1人当り賃金の大幅な増加は見込めず、米国の93年当時のジョブレス・リカバリーのような状況が生じる。このため、雇用者所得の伸びを上回る個人消費の伸びは期待できず、消費性向の上昇はみられない。
その後2003年度以降については、先送りとなっていた財政赤字への取り組みが重要になってくる。財政赤字の解消に向けた議論は2003年度に活発化し、消費税率の2005年度からの7%への引上げを想定する。このため、2004年度には消費に駆け込み需要が発生する一方、2005年度には反動減が予想される。こうした中で景気の牽引役を果たしてきた設備投資の増勢が一巡するため、実質GDP成長率は2003年度が+1.9%、2004年度が+1.6%と徐々に低下することとなろう。
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