2001年6月15日
2000年度の実質GDP成長率は+0.9%と小幅ながら2年連続でプラス成長となったが、年度後半から景気減速の動きが強まってきた。米国をはじめとする世界景気の減速によって日本からの輸出が減少しており、2001年に入ると生産の減少が急速になっている。企業収益の伸びも1〜3月期は減速しており、設備投資も伸び悩んできている。また、雇用・所得環境も厳しくなっており、個人消費は低迷している。
2001年度前半は景気の減速が続くであろう。まず、世界景気の減速を背景に輸出の減少が続く。すでに、在庫調整が始まっており、年度前半は生産の減少が続き、設備投資も抑制される。賃金も伸び悩むため個人消費は横ばい傾向を続けるであろう。住宅投資は持家着工を中心に減少が予想される。
年度後半になると景気が持ち直してくる。金融緩和の効果が出る米国をはじめとして、世界景気が回復してくるためである。輸出需要の回復は生産を拡大させ、在庫調整に目処がついてくる。生産の拡大によって設備稼働率が上がり、企業収益もしだいに回復してくるため、減速していた設備投資が再び拡大する。企業の人件費抑制姿勢は強く、企業収益が改善しても個人所得の回復幅は限られるが、それでも個人消費はしだいに持ち直して、景気を下支えするであろう。
前回3月時点の成長率見通し+1.0%に比べると、0.7%ポイント下方修正されているが、修正ポイントは、(1)世界景気の減速が予想より急であったことによる外需寄与度の低下(0.2%ポイント低下)と、(2)公共投資の前提条件を変更したことによる公共投資の寄与度の低下(0.3%ポイント低下:前回見通しの前提では真水3兆円程度の経済対策が策定され、うち半分は今年度中に現われるとしている)である。なお、デフレ圧力が続くため名目成長率は−0.7%と4年連続のマイナス成長が予想される。
2002年度は前年度後半と同様に、輸出の増加が生産を拡大させて景気回復が続くであろう。更新投資を中心に設備投資が拡大し、所得の回復に伴って個人消費も増加して、国内民需が主導する景気回復が実現する。名目成長率も+1.3%と5年ぶりのプラス成長を予想する。ただ、前年比で見た設備投資の回復は2002年度中にピークをつけ、年度後半はしだいに景気減速感が出てくる可能性がある。
財政再建や不良債権の最終処理といった構造改革の進展が景気にデフレ圧力をもたらすという見方が強まっている。確かに、追加の経済対策(真水3兆円程度)を実施しないことにより、実施した場合に比べて2001年度の経済成長率は0.3%ポイント低下すると試算できる。ただ、公共投資の減少傾向はすでにここ数年続いていることであり、財政再建路線はこれまでの延長上にあるとも言える。不良債権の最終処理(オフバランス化)もすでに行われていることである。今後、最終処理のスピードが増してくる可能性はあるが、これまでとまったく違うことが始まろうとしているわけではない。景気の下振れリスクは、構造改革の進展よりも海外景気の動向にありそうである。
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