2006年度経済見通し

〜「いざなぎ景気」越えが視野に〜


【要 旨】

1.景気は緩やかな拡張局面にある。IT関連分野の在庫調整は完了し、関連需要も再び勢いを強めている。輸出の増加などもあり、非IT関連分野の在庫調整も最終局面にある。全体でみても、在庫調整は、年内にも一巡となり、IT関連需要や海外景気の再加速のなか、2006年度に向け景気の拡大が続く可能性が大きい。

2.在庫循環による景気の若返りが見込まれるなか、06年度上期にかけては、拡大の勢いが増し、力強い成長となる素地も整ってきている。建設投資循環がすでに上向いているほか、設備ストック調整が一巡し、投資採算が過去最高の水準まで改善しており、設備投資が対GDPで持続的に比率を高める、「本格拡大」の局面に入ってきているとみられる。

3.出遅れ感のある個人消費も、企業部門の回復の下で、株価上昇や雇用・所得環境の改善を通じ、堅調な推移が期待できる。06年1月以降は、定率減税縮減の影響が表れるが、所得の増大がこれを相殺し、消費の大崩れは見込みにくい。住宅地価・ローン金利の先高感から住宅投資の拡大も見込まれ、家計部門は比較的堅調な推移が予想される。

4.これまでの景気拡大に加え、今後もやや高い成長が持続するなかで、足元にかけての円安・ドル高や原油価格上昇の影響もあり、消費者物価・コア(生鮮食品を除く総合)については、前年比プラスの定着が確認されるとみられる。こうした状況の下で、日銀は06年4〜6月期以降、日銀当座預金残高目標を引き下げ、7〜9月期には、量的金融目標の設定を解除して、ゼロ金利政策に移行し、10〜12月期には、ゼロ金利政策の解除に踏み切ると予想される。

5.このように景気の本格拡大の基盤は形成されてきているものの、緩和的な金融環境の支えも大きかったとみられる。しかし、今後は断続的な金融引き締めに加え、定率減税廃止が予想されるなか、06年末にかけ、景気は弱含み始める可能性が大きい。海外景気の勢いも秋口からは衰え、今回の景気拡張期間は、戦後最長の「いざなぎ景気」(57カ月)を越えると予想されるものの、直後に後退局面入りとなろう。

6.その意味では、地域間の格差等にも配慮しつつ、日銀当座預金の緩慢なペースでの引き下げや政府による性急な増税路線の回避、民営化・観光・環境立国化推進など、民間のビジネス・チャンスを広げるような、慎重かつ前向きな政策運営が望まれよう。実質経済成長率は、05年度が2.6%と見込まれるが、06年度は、上期の強めの動きから、年度ベースでは2.7%と、成長率が僅かに高まるとみられる。

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