〜06年度中に、軽い景気後退局面入りも、07年度下期には再拡大へ〜
1.2002年1月を谷とした景気の拡張は、06年に入っても続き、夏場にかけては、比較的順調な推移をみせた。06年11月には、景気拡張期間が、「いざなぎ景気」(57カ月)を超えることになるため、「戦後最長」の景気拡大への期待が高まっているが、ここにきて、足元や先行きの弱含みを示す指標が増えている。06年7〜9月期の実質GDPは、前期比年率2%成長となったが、純輸出と在庫投資の押し上げが大きく、国内最終需要は前期比マイナスであった。また、IT関連財を中心に在庫が増加しており、出荷・在庫バランスが悪化している。生産は頭打ちとなり、景気先行指数が低下基調となる中で、「いざなぎ超え」は微妙な情勢といえる。
2.景気は、06年度中に、後退局面に入る可能性が大きい。(1)海外景気やIT関連需要の鈍化、(2)これまでの原油高による交易条件の悪化、(3)金融引き締めの効果、(4)定率減税廃止の影響、などが、その理由として挙げられる。ただ、後退は、比較的軽微なものになると予想される。これは、(1)世界経済の減速が緩やかなものにとどまる、(2)企業の設備過剰感が払拭される中で、高水準の投資採算を背景に設備投資が中期循環の上昇局面に入っている、(3)地価の上昇もあり、建設投資の長期循環の上昇が本格化していく、などのためである。
3.07年度下期には、再び拡大に転じよう。海外経済が07年7〜9月期以降再加速してくるとみられるほか、IT関連分野を中心とした国内企業の在庫調整も、07年秋には一巡となる公算が大きい。さらに、世界経済の押し上げ要因となる原油価格下落の効果が、日本経済にも及んでこよう。景気後退は、07年10月頃まで続くとみられるが、07年度下期には、建設・設備投資の中長期的な上昇局面の下で、再び力強い景気拡大に転じると予想される。
4.06年夏場までの景気の勢いは強く、年度ベースでみると、06年度の実質GDP成長率は2.6%となり、05年度の3.3%には及ばないものの、政府見通しの2.1%を上回ることになる。また、07年秋にかけて景気後退が続くが、軽度にとどまるほか、07年度下期には、再び拡大に転じることから、07年度の実質成長率は1.6%となり、1%台半ばの成長が確保されよう。
5.消費者物価コア(全国・生鮮食品を除く総合)は、これまでの需給改善による押し上げ効果から前年比上昇幅の拡大が予想される。また、景気後退が軽いため、需給ギャップの大幅な悪化は見込みにくい。全国コアの前年比が再びゼロ%に近づき、マイナスが視野に入ることは考にくく、デフレに逆戻りする可能性は小さい。
6.日銀は、経済・物価情勢を総合的に判断し、06年12月、あるいは07年1月の金融政策決定会合で、追加利上げに踏み切ると予想される(無担保コール翌日物金利を0.50%に)。その後は、景気後退局面入りとなることから、利上げ休止の可能性が大きいが、深刻な後退ではないため、利下げにも至らないとみられる。一方、07年度下期には、景気が再拡大に転じることから、07年度末には、利上げも再開となろう。
7.07年度下期に力強い拡大に転じる景気は、08年度も堅調な推移を続けよう。世界経済の再加速に加え、日本経済が中長期的な上昇局面にあることに変わりはない。08年は北京五輪の年でもあり、企業部門が堅調さを増してくるほか、雇用情勢改善、家計所得の増勢加速も見込まれ、企業部門の堅調さの家計への波及が進展するとみられる。08年度は、再び実質3%台の成長が視野に入ってこよう。
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