2007、2008年度の改訂経済見通し

〜既に軽い後退局面入りも、07年度下期に再び拡大へ。08年度は、力強い推移に〜


【要 旨】

1.前回の経済見通し発表(2月19日)後の状況をみると、06年10〜12月期の実質GDP成長率(2次速報)は、前期比1.3%、同年率5.5%となり、1次速報(同1.2%、同年率4.8%)から上方修正された。設備投資は、1次速報で大幅な増加となっていたが、さらに上方修正となり、前期比で3%を超える増加となった。一方、個人消費は、小幅ながら下方修正だが、前期比で1.0%の増加で、7〜9月期の落ち込みから持ち直している姿に変わりはない。

2.その他の景気指標をみると、強弱混在している。07年1月の消費総合指数(実質)や輸出数量指数は、前月比で大幅に増加したが、経常利益や営業利益は、06年10〜12月期に前期比減益となっている。また、鉱工業生産は、07年1月に前月比で減少し、2、3月の生産予測指数も弱目で、1〜3月期に、前期比減産となる可能性が示されている。また、景気動向指数をみると、DI(ディフュージョン・インデックス)一致指数は、景気の拡張・収縮の判断の分岐点の50%を10カ月連続で上回っているが、先行DIは、足元で、3カ月連続の50%割れで、ここ7カ月では、50%割れを6度記録している。

3.金融政策については、2月20日〜21日の日銀の金融政策決定会合で、追加利上げが決定された(無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%から0.50%へ)。また、金融市場では、2月末から3月上旬にかけ、株価が大幅に下落し、円高が進行した。ここにきて株価下落や円高進行には歯止めがかかり、株価は上昇し、円レートは、円安方向に動いているが、株価は急落前の水準には戻っておらず、円レートは、引き続き円高水準にある。

4.こうした中、景気の見方は、基本的に前回から変わっていない。06年夏場以降、輸出が弱含み、06年末まで続いた在庫の増加を受け、生産調整が始まっている。既に、景気は後退局面に入っているとみられ、02年1月を谷として始まった景気拡張の期間が、いざなぎ景気を超えたかどうかは、微妙な情勢となっている。一致DI は、採用されている11系列のうち、3カ月前と比べて拡張の方向を示している系列の割合として計算されるが、3カ月前比では上向きでも、直近のピークを超えていないものもある。採用系列ごとに、山と谷を設定し、谷から山までを上昇とする一方、山から谷までをすべて下降として算出するヒストリカルDI(HDI)で、事実上、景気基準日付は決定される。暫定的なHDIを作成してみると、06年10月までは50%を超えているものの、11月は、50%割れとなる。10月で、景気の拡張期間は、57カ月となり、いざなぎ景気と並んだとみられるものの、いざなぎ超えはならず、11月から後退局面となった可能性がある。

5.07年1月に堅調な動きを示した輸出だが、中国などの旧正月を控えてアジア向けが急増したことが大きく、2月は反動減が予想される。先行きは、海外経済の減速から輸出は弱含み、秋にかけ生産調整が続く可能性が大きい。また、これまでの原油高による交易条件の悪化や金融引き締めによるマネタリー・ベースの落ち込みの影響も見込まれる。株価は、夏場にかけ再び弱含む可能性があり、円レートは、年前半に予想される米利下げもあって、緩やかな円高基調となるとみられ、景気の下押し要因となろう。さらに、定率減税廃止の影響も加わる。こうした中で、企業収益の弱含みが明確化し、雇用や所得環境の改善にも歯止めがかかり、設備投資や個人消費も力強さを欠いた推移となってこよう。

6.ただ、景気後退の程度は軽く、07年度下期には、再び拡大に転じ、08年度も堅調な推移が続くと予想される。まず、世界経済の減速は緩やかで、夏場以降、中国で開催の北京五輪や米国大統領選が予定されている08年に向け、堅調な推移となるとみられる。また、半導体などのシリコン・サイクルも08年に向け、再び上昇局面となってくると見込まれる。さらに、国内では、設備・建設投資が中期・長期循環の上昇局面に入っていることもある。また、08年度には、企業部門の堅調さが、家計部門へ本格的に波及してくる可能性も大きい。09年4月に想定している消費税率引き上げ(5%→7%)前の駆け込みも加わり、個人消費や住宅投資は大幅な増加が予想される。

7.実質成長率見通しについては、足元のGDPの上方修正を受け、06年度を前回の2.0%から2.1%に修正し、07年度への成長のゲタが高くなったことで、07年度見通しを1.2%から1.4%に引き上げた。08年度は、前回と同じ2.6%としている。一方、金融政策の見通しは、前回から変更していない。景気後退の中、追加利上げは見送られるが、後退が軽いものにとどまることから、利下げにも至らないとみられる。07年度下期からの景気の堅調な拡大と、消費者物価(全国、除く生鮮食品)の上昇ペースの再加速を受け、08年度に入り、日銀は利上げを再開していくと見込まれる。実際に、消費者物価コアの上昇率の着実な加速に加え、企業部門の堅調さの家計への波及が見込まれる08年度には、日銀は四半期毎に、0.25%ずつの利上げを実施し、08年度末には、無担保コール翌日物金利の誘導目標は、1.5%まで引き上げられると想定している。

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