「地方創生」に関する取り組み

NEWS

2017/01/30 【研究員レポート】日本版ソーシャルインパクトボンド(SIB)の導入に向けて(植野真史)
2017/01/25 【今月のニュース】地方創生における高齢者の役割
2017/01/21 【イベント等のご案内・実施報告】内閣府地方創生推進室主催の「地方創生☆政策アイディアコンテスト2016」に協賛しました。
2016/12/31 【今月のニュース】「まち・ひと・しごと創生総合戦略2016」改訂案とりまとめ
2016/11/30 【今月のニュース】2015年国勢調査の確定値が公表
2016/11/07 【研究員レポート】「地域」における ベンチャー企業を核としたオープンイノベーション(北洋祐)
2016/10/31 【今月のニュース】企業の本社の地方移転の現状
2016/10/14 【イベント等のご案内・実施報告】大塚が世田谷区主催のシンポジウム「世田谷区の将来を考えよう ~人口減少に挑む せたがや~」に登壇します
2016/09/30 【今月のニュース】平成28年度第2次補正予算において、「地方創生拠点整備交付金」900億円を計上
2016/09/12 【イベント等のご案内・実施報告】「ソーシャルイノベーションフォーラム」のご案内
2016/09/09 【イベント等のご案内・実施報告】起業家甲子園・起業家万博【東北地区大会】~SPARK! TOHOKU2016 Startup Pitchのご案内
2016/08/30 【今月のニュース】地方創生総合戦略のPDCAから思うこと
2016/07/28 【今月のニュース】金融機関を地方創生のパートナーに
2016/07/08 【イベント等のご案内・実施報告】SPARK!TOHOKU2016 キックオフミーティング
2016/06/30 【今月のニュース】地方創生交付金事業の成果検証結果の公表が始まる
2016/05/31 【今月のニュース】地方創生と企業立地
2016/05/10 【研究員レポート】地方創生の取り組みに求められるPDCAサイクルの確立(大塚敬)
2016/05/02 【今月のニュース】中央省庁の地方移転に関する方針について
2016/03/28 【今月のニュース】平成27年国勢調査速報値公表 大都市と地方の二極化傾向が鮮明に
2016/03/18 【研究員レポート】基礎自治体における幸福度向上の取り組み ―地方創生の先に―(沼田 壮人)
2016/03/01 【研究員レポート】地方創生のための教育について考える(後編)(喜多下 悠貴)
2016/02/29 【今月のニュース】地方創生加速化交付金事業の動向
2016/02/19 【研究員レポート】クラウドファンディングと社会参加の形態の多様化(中田 雄介、家子 直幸、渡邉 睦)
2016/02/19 【研究員レポート】まち・ひと・しごとの創生とクラウドファンディングの利用(中田 雄介、渡邉 睦)
2016/02/12 【研究員レポート】エビデンスで変わる政策形成
        ~イギリスにおける「エビデンスに基づく政策」の動向、ランダム化比較試験による実証、及び日本への示唆~
        (家子 直幸、小林 庸平、松岡 夏子、西尾 真冶)
2016/01/25 【今月のニュース】公表された新型交付金について
2016/01/19 【研究員レポート】地方創生のための教育について考える(前編)(喜多下 悠貴)
2015/12/25 【今月のニュース】内閣府が地方創生先行型(タイプI)で交付金不採択事業の要因分析結果を公表
2015/12/14 【研究員レポート】地方創生と地方財政健全化の両立は可能か(芝野 友基)
2015/11/20 【研究員レポート】観光地域づくりに不可欠な“地域の人の力”(内田 克哉)
2015/11/20 【今月のニュース】動き出すプロフェッショナル人材戦略拠点
2015/10/30 【今月のニュース】各地で「人口ビジョン」「総合戦略」の素案・骨子案の公表進む
2015/10/06 【研究員レポート】公益財団法人堺都市政策研究所『機関誌Urban』vol.27(2015年3月)
        「オープンな社会イノベーションの創出に向けた仕組みづくり」
        ~クラウドファンディングとオンラインコミュニティ、地方創生のその先の社会~
2015/09/29 【今月のニュース】地方創生に向けた広域連携の動きがはじまる
2015/08/31 【今月のニュース】2016年度 「新型交付金」は昨年度予算を下回る規模
2015/08/28 【研究員レポート】対話をアクションへ:アート・オブ・ハーベスティングの可能性_後編(渡邊 倫)
2015/08/27 【研究員レポート】対話をアクションへ:アート・オブ・ハーベスティングの可能性_前編(渡邊 倫)
        (「地方創生フォーラム~人口減少化の持続的な発展に向けた実践的課題と対応策」におけるワークショップはこの手法を用いて実施しました)
2015/07/29 【今月のニュース】「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」が閣議決定
2015/07/23 「地方創生」関連情報のページを開設しました
2015/07/09 【研究員レポート】大都市圏における地方創生 ~転出超過数全国ワーストワンからの挑戦 横須賀市の人口減少対策とその成果~(大塚 敬)
2015/06/29 【研究員レポート】子どもを持ちたいと考える人の希望が叶う社会をつくるために(岩室 秀典)

概要

「まち・ひと・しごと創生法」が平成26年11月28日に施行され、平成26年12月27日にこの法にもとづく「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」、さらにその実現に向けた国としての「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定されました。その後、この法にもとづいて、全国の地方自治体において、人口ビジョン・総合戦略の策定が進められています。さらに、今後はこの総合戦略にもとづいて、それぞれの地域が創意工夫のもとに個性的なまちづくりを進めることが期待されています。
ここでは、この地方創生に関連した国や地域における動向をわかりやすく伝えていきます。

コンテンツ

研究員レポート イベント等のご案内・実施報告 今月のニュース

研究員レポート

2017/01/30 日本版ソーシャルインパクトボンド(SIB)の導入に向けて(植野真史)
2016/11/07 「地域」における ベンチャー企業を核としたオープンイノベーション(北洋祐)
2016/05/10 地方創生の取り組みに求められるPDCAサイクルの確立(大塚敬)
2016/03/18 基礎自治体における幸福度向上の取り組み ―地方創生の先に―(沼田 壮人)
2016/03/01 地方創生のための教育について考える(後編)(喜多下 悠貴)
2016/02/19 クラウドファンディングと社会参加の形態の多様化(中田 雄介、家子 直幸、渡邉 睦)
2016/02/19 まち・ひと・しごとの創生とクラウドファンディングの利用(中田 雄介、渡邉 睦)
2016/02/12 エビデンスで変わる政策形成
        ~イギリスにおける「エビデンスに基づく政策」の動向、ランダム化比較試験による実証、及び日本への示唆~
        (家子 直幸、小林 庸平、松岡 夏子、西尾 真冶)
2016/01/19 地方創生のための教育について考える(前編)(喜多下 悠貴)
2015/12/14 地方創生と地方財政健全化の両立は可能か(芝野 友基)
2015/11/20 観光地域づくりに不可欠な“地域の人の力”(内田 克哉)
2015/10/06 公益財団法人堺都市政策研究所『機関誌Urban』vol.27(2015年3月)「オープンな社会イノベーションの創出に向けた仕組みづくり」
        ~クラウドファンディングとオンラインコミュニティ、地方創生のその先の社会~
2015/08/28 対話をアクションへ:アート・オブ・ハーベスティングの可能性_後編(渡邊 倫)
2015/08/27 対話をアクションへ:アート・オブ・ハーベスティングの可能性_前編(渡邊 倫)
2015/07/09 大都市圏における地方創生 ~転出超過数全国ワーストワンからの挑戦 横須賀市の人口減少対策とその成果~(大塚 敬)
2015/06/29 子どもを持ちたいと考える人の希望が叶う社会をつくるために(岩室 秀典)
2015/03/17 地方創生への取り組みにおけるシティプロモーションの意義と可能性(大塚 敬)

イベント等のご案内・実施報告

【内閣府地方創生推進室主催の「地方創生☆政策アイディアコンテスト2016」】

【シンポジウム「世田谷区の将来を考えよう ~人口減少に挑む せたがや~」】
  • 2016年11月12日(土)に開催される、世田谷区主催のシンポジウム「世田谷区の将来を考えよう ~人口減少に挑む せたがや~」に、当社の大塚がパネルディスカッションのコーディネーターとして登壇します。詳細はこちら をご覧ください。

【ソーシャルイノベーションフォーラム】
  • 2016年9月29日(木)に開催される、日本財団主催の「ソーシャルイノベーションフォーラム」の分科会「行政はその事業、対策を説明できますか?~エビデンスで政策形成はどう変わるのか~」に当社の家子、松岡が登壇します。詳細はこちら をご覧ください。

【起業家甲子園・起業家万博【東北地区大会】~SPARK! TOHOKU2016 Startup Pitch】
  • 2016年11月14日(月)に、当社の杉原がみやぎモバイルビジネス研究会に協力し企画・運営を行っている、東北地域における創業支援の充実と活性化のためのイベント「SPARK! TOHOKU2016 Startup Pitch」が開催されます。詳細は こちら をご覧ください。

【SPARK!TOHOKU2016 キックオフミーティング】
  • 2016年6月15日(水)当社が事務局を務めさせて頂いている、東北地域における創業支援の充実と活性化に向けた取り組みであるSPARK!TOHOKU2016のキックオフミーティングが開催されました。開催報告は こちら をご覧ください。

【地方創生フォーラム(東京)】
  • 2015年8月5日(水) 「地方創生フォーラム~人口減少化の持続的な発展に向けた実践的課題と対応策」を開催しました。
    ご参加頂いた皆さま、ありがとうございました。(フォーラムの結果報告はこちら

【地方創生フォーラム(名古屋)】
  • 2015年7月2日(木) 「地方創生フォーラム~ものづくり中部圏としての地方創生のあり方を考える~」を開催しました。
    ご参加頂いた皆さま、ありがとうございました。開催報告は こちら をご覧下さい。

今月のニュース

2017年 1月

2016年 1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

2015年 6月7月8月9月10月11月12月

■1月のコラム■ 地方創生における高齢者の役割

 日本老年学会・日本老年医学会は本年1月5日に、65歳以上とされる高齢者の定義を75歳以上に引き上げるべきだとする提言を発表した。提言では、「高齢者の定義が現状に合わない状況が生じて」おり、「高齢者、特に前期高齢者の人々は、まだまだ若く活動的な人が多く、…近年の高齢者の心身の健康に関する種々のデータを検討した結果、『若返り』現象がみられている」としている。また、各種の意識調査結果からも、「社会一般においても 65 歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなって」いるため、高齢者の年齢を75歳以上に引き上げ、「社会の支え手でありモチベーションを持った存在」として捉えなおすことが重要であるとしている。また、内閣府が高齢者の定義を70歳以上に引き上げることなどを提案する報告書をまとめ、近く公表するとも報じられている。
 地方創生の施策展開に当たって、高齢者(65歳以上。以下同様。)の活用は重要な視点の一つである。地域を支えるのは地域住民であり、高齢化が進む地方にとって高齢者は貴重な人材である。高齢者の定義を見直すことで、高齢者自身や社会全体の意識改革につながり、雇用の継続や社会参加のきっかけとなり、高齢者の持つ力-知識や経験、ノウハウ、人としての円熟した魅力など-を地域の活性化に活かすことができるのではないだろうか。
 高齢者の定義の見直しに向けた議論の進展は、高齢者の果たす役割が一層高まっていることを感じさせる。地方創生に当たっては、移住者も含めた地方の高齢者が社会の担い手の一員として活躍できるような仕組みを構築し、地域の活性化を促進することが求められている。
 こうした中で、政府は、2016年度に創設した地方創生の深化のための新型交付金(地方創生推進交付金)により、高齢者の地方への移住促進策を推進している。高齢者の地方への移住には、介護・医療体制の充実や社会保障費の増加による自治体の負担増などの課題があるが、今後、地方にもたらす効果も含めて、交付金事業として採択された各自治体の事業を検証することも必要ではないか。(政策研究事業本部(大阪) 研究開発第2部 家城康太)

■12月のコラム■ 「まち・ひと・しごと創生総合戦略2016」改訂案とりまとめ

 総合戦略の中間年となる2017年度に向け、2016年12月14日の第11回「まち・ひと・しごと創生会議」で、「まち・ひと・しごと創生総合戦略2016」の改訂案がまとめられ、22日に閣議決定された。改訂では、ローカル・アベノミクスの一層の推進として、遊休資産(空き店舗、遊休農地、古民家等)の活用が新規に追加された。また、東京一極集中を是正するため、地方大学の振興等、地方創生インターンシップの推進が追加された。さらに、ライフスタイルの見つめ直しとして、地方生活の魅力の再発見・発信、郷土への誇り・愛着の醸成、歴史の発掘・地域文化の振興が追加された。
 このうち、地方大学の振興等では、全国知事会の「地方大学の振興等に関する緊急抜本対策」(平成28年11月28日)をうける形で、地方大学の振興、地方における雇用創出と若者の就業支援、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等について、緊急かつ抜本的な対策を、教育政策の観点も含め総合的に検討する方向性となった。また、地方創生インターンシップ事業については、東京圏在住の地方出身学生等の地方還流や地元在住学生の地方定着を促進するため、地方創生の交付金等を活用し、地元企業でのインターンシップの実施等を支援する取組を産官学で推進する方向性となった。さらに、奨学金の返済減免制度を活用した大学生等の地方定着の促進も盛り込まれた。
 以上のように、地方から都心への人材流出を抑制するため、主に地方での教育振興や就業支援、人材育成に力点が置かれる改訂となった。地方と都心の人材確保と育成をどのように調整し、18歳人口が今後減少していく中、大学の経営をどのように維持していくのか。今後の国の検討、自治体や企業の取り組みが着目される。
(公共経営・地域政策部 大垣俊朗)
■参考資料
まち・ひと・しごと創生本部事務局 まち・ひと・しごと創生総合戦略(2016改訂版)について ~地方の「平均所得の向上」を通じたローカル・アベノミクスの推進~
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/souseikaigi/h28-12-14-siryou3-3.pdf
まち・ひと・しごと創生総合戦略2016 改訂版(本体)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/info/pdf/h28-12-22-sougousenryaku2016hontai.pdf
地方創生のための教育について考える(前編) 弊社公共経営・地域政策部 喜多下悠喜
http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/search_now/sn160119
地方創生のための教育について考える(後編) 弊社公共経営・地域政策部喜多下悠喜
http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/search_now/sn160301

■11月のコラム■ 2015年国勢調査の確定値が公表

 総務省は10月26日に2015年10月実施の国勢調査の確定値を公表した。日本の総人口は、1億2709万4745人で前回2010年から0.8%のダウンとなり、1920年に国勢調査を開始して以降初めての減少となった。都道府県別では、2010年から増加したのは、沖縄県の2.9%を筆頭に、東京都、埼玉県、愛知県、神奈川県、福岡県、滋賀県、千葉県の8都県にとどまる。一方、減少率が最も大きい10県は、秋田県(-5.8%)、福島県、青森県、高知県、和歌山県、山形県、岩手県、徳島県、長崎県、鹿児島県であり、東北や四国、九州に集中している。
 地方創生では、各自治体は2010年国勢調査人口を基準とした推計をもとに将来人口を展望し、必要とされる施策について検討してきた。そのため、推計結果と実人口に差異があれば、施策による将来の人口減少の抑制効果にも影響が生じる。そこで多くの自治体が推計の参考にした国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」を使用して、2010年に対する2015年の人口増減率を実人口と推計人口で比較した。
 実人口と推計人口で最も大きな差異が生じたのは滋賀県であり、推計では0.63%増と見通されていたが、実際には0.15%増にとどまり、見通しを0.48ポイント下回った。この他、見通しを大きく下回ったのは、奈良県(0.43ポイント減)、山梨県(0.30ポイント減)、宮崎県(0.29ポイント減)、三重県(0.29ポイント減)であり、いずれも2010年からの減少率の大きな10県ではない。このような県では、人口減少スピードが当初の見通しより加速することが懸念されるため、実際の人口動態に着目するだけでなく、見通しとの乖離状況にも注意を払う必要がある。(政策研究事業本部(名古屋)研究開発部 佐々木雅一)


(資料)総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)

■10月のコラム■ 企業の本社の地方移転の現状

 地方創生の施策の一環として2015年8月より、地方において本社機能を拡充をする場合や、東京23区内に本社を置く企業が本社機能を地方に移転させる場合に税金が大幅に軽減されるという制度(地方拠点強化税制)が開始された。本社には企画管理部門などの部署が含まれ、地域で対事業所サービスの発注が想定されることから、単に営業拠点などが立地する以上の効果があるとされる。
 制度開始より1年以上が経過したが、大きな効果が上がったとの声は聞こえてこない。制度開始早々に富山県黒部市へ一部の本社機能を移転したYKKグループなどは大きく報道されたものの、各種報道を確認しても制度を活用した企業は百件程度であると推測される。政府は「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015改訂版)」において、2020年までの5年間で、企業の地方拠点強化件数を7,500件増加させることを目標として掲げているが、現状を見る限り、この目標の達成は厳しい状況にあると言える。現在、内閣府は2017年度税制改正において本制度における租税特別措置を本年度と同水準に据え置くことを求めている。東京への一極集中が加速する中、地方拠点強化の後押しを継続する必要があるとの判断があったと考えられる。
 本社機能を地方移転・拡充させた企業の数は多くないものの、これまでに制度を利用した企業にはいくつかの特徴が見られるようである。まず、東京23区から地方に本社機能を移転する「移転型」に比べて、地方の本社機能を拡充する「拡充型」の利用が圧倒的に多い。次に、業種についてみると情報通信業(広島市で開発拠点を拡充した株式会社ドリーム・アーツ、秋田市に本社移転した株式会社エスツーなど)や、金融・保険業(福岡市に本社機能の一部を移転したマスミューチュアル生命保険株式会社、札幌市に本社を開設したアクサ生命保険株式会社など)のような、本社機能がサービスを提供する地域に立地している必要性が低い業種が多くなっている。また、首都直下型災害に対するリスクヘッジのための拠点の分散や、人材の獲得が移転のきっかけとなっているケースも見られる。その他、移転先の選定に当たっては、移転先地域への経営者の特別な思いが影響していることなどもあるようである。
 自治体独自の優遇メニューを用意するなど、各地で思い切った施策が打ち出されているものの、全体としては本社の地方移転はあまり進んでいない現状がある。まずは、上に整理したような移転企業の特徴や傾向を踏まえつつ、本社機能の地方移転・拡充の可能性を持つ企業を絞り込むことが必要であろう。それらの企業に対して訴求力の高い提案が出せれば、これまで以上に本制度を活用した企業の地方拠点の強化が進むのではないだろうか。(研究開発第2部(大阪)・仲嶋 翼)

■9月のコラム■ 平成28年度第2次補正予算において、「地方創生拠点整備交付金」900億円を計上

 8月24日に閣議決定された平成28年度第二次補正予算における地方創生関連予算に、地方創生拠点整備交付金が盛り込まれた。本交付金は、地方への人材還流や地域における拠点形成、地域ブランディングの促進、ローカルイノベーションの創出等に資する施設整備の支援を目的としている。これにより、地方版総合戦略で位置づけられた各種事業の本格的な展開の加速化に寄与することが期待されている。対象事業の具体例としては、移住・定住促進のための空き家整備や、地域コミュニティの活動拠点となりうる施設(廃校舎、旧役場、公民館等)の改修、観光地域づくりに資する観光施設の修繕などが挙げられる。
 この地方創生拠点整備交付金は、ソフト事業を中心に支援するものであった平成28年度当初予算の「地方創生推進交付金」とは異なり、ハード事業を支援の対象としている点に特徴がある。これまでソフト事業を中心とすることとしていた地方創生の取り組みへの支援が、「ハコモノ」を正面から支援の対象としたという点で一つの転機と捉えることができる。一方で、対象とするハード事業は、地方版総合戦略に位置付けられ取り組みとの整合性が求められており、ソフト事業との密接な連携や、当該施設の利活用に係るKPIの設定およびそれによるPDCAサイクルの構築が前提となっている。従来のソフト面における地域の創意工夫による地方創生をより一層推進するためのハード整備という大前提を念頭に置きつつ、本交付金の活用が期待される。(政策研究事業本部(東京)公共経営・地域政策部 渡邊 倫)

■8月のコラム■ 地方創生総合戦略のPDCAから思うこと

○総合戦略のPDCA:KPIによる評価
 昨年度策定された「総合戦略」のPDCAが進められていると思う。
 筆者が昨年度作成をお手伝いした自治体において、今年7月に第1回戦略会議が開催され、平成27年度分の事業進捗について、重要業績評価指標KPIにより評価した結果が報告された。このケースでは、策定した初年度から、一部事業において計画通りに実施できていなかったため、進捗率100%とはなっていない。
○評価に見る委員と事務局の関心事項の相違
 当該戦略会議では、計画策定早々にして進捗率100%を達成できていないことが問題となるのではないかと懸念したが、戦略会議では、達成状況よりも、施策目標に対して、平成28年度及び29年度の事業の見直しや新たな取り組み内容について、自治体の創意工夫点に対する指摘が多かった。戦略会議の委員の関心事項は、過去よりも、将来の自治体の動きに対して敏感で、今年度もう一度戦略会議を実施し議論することとなった。
 一方の当該自治体の企画部門の思いとしては、“総合戦略のKPIをどのように行政経営に活かせばよいのか“ということだった。
○総合計画におけるPDCA:施策レベルでの施策評価
 今年度、当該自治体の企画部門では、総合計画の後期基本計画の改訂に向けた検討を行っている。総合計画の体系と目標管理の考え方は、分野別計画において施策レベルでの数値目標設定と、実施する主な取り組み事業を掲載する。つまり、総合計画(基本計画)のPDCAは施策レベルでの評価であり、5年に1回評価を行う。地方創生総合戦略のKPIによる事業レベルでの評価ではない。
○事務事業評価(行政評価)の状況
 事業レベルでの評価としては、「事務事業評価(行政評価)」がある。当該自治体でも、一昨年度まで行政改革の推進と財政面での事業管理から事業評価を10か年行い、10年を一区切りとして評価管理手法を切り替えた。昨年度からは職員の負担軽減と事業進捗面に重きを置いた「事務事業評価」に転換した。
 これら事業レベルの評価内容(指標)は、自治体によって多少の差異はあるものの、事業レベルでチェックする地方創生総合戦略のKPIのような指標も組み込まれて行われている。
○計画・事業の進捗管理をどのように進めるか
 地方創生総合戦略のPDCAのために、総合戦略に記載した事業を所管する部署では、事務事業評価(行政評価)に加えて、KPIのチェックが新たに加わった。事務事業評価と時期や内容が同じで、1回で処理できればよいが、それぞれの評価作業が異なっている場合は事務負担が増加する。
 また、総合計画の施策目標(評価指標)、地方創生総合戦略(KPI)、事務事業評価(評価指標)の間で、関連性・整合性が取れていればよいが、連動していないのであれば、意味のある評価・計画管理ができるのかと疑問に思う。
 当該自治体の担当者との議論の中で得られた共通意見は、これら計画の評価は、如何に整合性を持たせるか、所管する職員の事務負担を軽減できるか、限られた財政の中で事業の見直しができるかが重要だろうということだった。
 各種計画のPDCAにおいてどのようなことを重要視しているのか、地方創生総合戦略の見直しをどのように進めていくのか、多くの自治体職員の皆さんの意見を確認できればと思っている。(政策研究事業本部(名古屋) 研究開発部 筒井 康史)

■7月のコラム■ 金融機関を地方創生のパートナーに

 昨年度、総合戦略・人口ビジョンを策定するにあたって、「産官学金言労」からメンバーを集め、戦略のとりまとめを行った自治体もあるだろう。中には、それをきっかけにして、金融機関との距離が縮まり、金融機関と協働して、プロジェクトが動き出したという話も聞いている。
 これを金融機関の立場から見ると、政府が金融機関に対して、地方創生 に協力するように、強く働きかけていることがわかる。「ひと・まち・し ごと創生本部」からは、「地方創生への取組状況に係るモニタリング調査 結果(平成27年12月)」が公表されており、「特徴的な取組事例」が金融 機関の実名入りで紹介されている。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/pdf/1512_research_kinyu.pdf
 また、地方創生に貢献することが地域金融機関にも期待されているとして、昨年11月に金融庁内に「地域金融企画室」が設置されている。そして、金融庁は、地域金融機関に対しては、顧客ニーズを的確に捉えた商品・サービスを提供するとともに、担保・保証に依存する融資姿勢を改め、事業や成長可能性を評価するように、といったことを求めている。
 こうした経緯があり、大半の地方銀行で地方創生担当セクションが設置され、専任の担当者が「地方創生」にどのように貢献すればよいか、と頭を悩ませている。あるいは、さまざまな案件を携えて、自治体回りをしているはずである。
 つまり、自治体側にとっては、金融機関を地方創生のパートナーとしてうまく活用すれば、金融機関が有する企業とのつながりを地元自治体に取り込むことができ、人材・ノウハウ・資金不足で、進展しなかった産業振興の具体的な取組が動き出す…といった成功例も出てくるはずである。「あまり金融機関との付き合いは無い」という自治体の担当者の方は、普段から付き合いのある金融機関に地方創生の担当者を紹介してもらう、といったところから始めてみてはいかがだろうか。
 (研究開発第2部 美濃地 研一)

■6月のコラム■ 地方創生交付金事業の成果検証結果の公表が始まる

 地方創生に係る各種交付金は、KPIとしてアウトカム指標を設定し、事業実施後にこれを用いた効果検証を行った結果を、国に報告するとともに公表することが求められている。このため、昨年度各自治体に交付された「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)」について、実績の取りまとめとその成果の検証が終了し、検証結果を公表する事例が見られ始めている。
 これらの検証結果の公表事例を見ると、事業の概要とともに、単に指標値と目標達成率のみを一覧表に整理しているといった例が少なくない。しかし、KPIの目標値は、達成することが容易な水準に設定されていては意味がなく、目指す価値のある理想の状態を示す水準に目標値が設定されているべきである。そうすると、事業がきちんと実施されていたとしても、様々な要因により指標値がその水準に届かないことはあり得る。また、アウトカム指標は事業の影響だけで変動するのではなく、事業以外のさまざまな要因の影響を受ける。こうした外部要因の影響を100%排除することは不可能であるため、事業が質量ともに高い水準で実施されても、マイナスの外部要因により目標を下回る場合もあれば、事業がKPIの向上に実はあまり寄与していなくとも外部要因がプラスに作用したことにより目標を上回ってしまう場合もある。このため、事業の成果検証においては、単に目標達成率だけでなく、指標値の変動要因の分析を行い、外部要因の影響も考慮した上で、事業の成果が十分にあったと評価できるかを考察する必要がある。
 そして、最も重要なのは、この結果を踏まえて、次の展開における事業の改善の方針を明確化することである。PDCAサイクルのA(ACTION:改善)を適切に行うために、成果の評価とその要因に関する分析、考察を十分に行い、改善策の立案に活用していくことこそが重要であり、説明責任を果たすためにも、そこまでの内容をわかりやすく公表することが求められている。(自治体経営改革室 大塚 敬)

■5月のコラム■ 地方創生と企業立地

 経済産業省工場立地動向調査(1,000㎡以上用地の工場立地取得ベース)から全国の工場立地の動向をみると、リーマンショック以降、大きく立地件数、立地面積を減少させているものの、直近では、復調傾向がみられる。
 統計でみる限り、その増加傾向は、顕著なものではないが、当社が、複数の地方自治体からの依頼に基づき実施している直近の企業アンケート調査では、総じて、工場建設に対する企業意向は非常に高くなっている。とりわけ、地域に根差した中小・中堅企業の設備投資需要が高くなっていることが特徴である。
 こうした中小・中堅企業の設備投資の意向は、リーマンショック後、守りの姿勢一辺倒で設備投資を抑制してきた企業が、生産性の改善、新たな取引先確保、新製品・新技術への展開の要請から、工場や機械等の設備投資を再開しようとするもので、「量」への対応ではなく、「質」への対応に基づく更新需要がベースになっている。
 中小・中堅企業の経営者から話を聞くと、「現在保有する設備・ラインで何とかなるけれども、建屋や機械が老朽化もしており対策が必要だ。新しい取引を確保するためにもラインを更新・増強したい」といった声をよく聞くことができる。
 地方自治体の地方創生の取り組みでは、企業誘致を戦略に掲げている自治体が多くみられるが、地元の中小・中堅企業の更新需要に対するニーズに拾い上げ、それを工業団地の整備だけでなく、販路開拓支援、金融支援、事業継承、土地利用の規制緩和等のソフト的な施策とあわせて総合的に後押しするような立地戦略が求められている。
 設備投資に踏み切れない中小・中堅企業に対して、安心して希望を持って投資できる環境をつくることが、地方創生と企業立地には重要である。
 (研究開発部長 永柳 宏)

図表-1 全国の工場立地動向

(注)電気業を除く、H27は速報値
(資料)資料:工場立地動向調査


図表-2 地域別県内立地構成比

(注)電気業を除く、H27は速報値
(資料)資料:工場立地動向調査

■4月のコラム■ 中央省庁の地方移転に関する方針について

 3月22日に「政府関係機関移転方針」がまとめられ、文化庁が京都府に全面的に移転することが正式決定した。文化庁は、国民の間でも比較的「知名度が高い」省庁の1つであり、また移転に伴い約200人の職員が東京から京都市に転入する見込みであることから、政府にとっては大規模かつ「中央省庁の地方移転を印象づける」実績ができることになる。また、京都府や京都市は、文化政策の基幹的役割を担う機能の移転に伴い、「日本の文化の中心」としての位置づけを獲得することから、この移転は両者にメリットをもたらすものになると考えられる。
 一方、徳島県が誘致している消費者庁については、機能や行政サービスの維持等に関する懸念が示されているほか、関係団体等の反対も強い。仮に実現した場合、消費者庁の移転が徳島県に与えるインパクトは、文化庁の移転が大都市圏である京都府に与えるインパクトよりもはるかに大きいものになると予想され、地方創生の象徴的な事例となることも考えられるが、結論については、試行による検証の結果を待たなければならない。
 なお、道府県が誘致している中央省庁のうち、中小企業庁、特許庁、観光庁、気象庁は、移転の対象としないことが決定しており、総務省統計局は、消費者庁同様、結論が先送りされているが、上記のケースにおける移転のメリット・デメリットを検証するとともに、地域振興と国全体としての利便性等のバランスを考慮しつつ、中長期的な観点から、地方創生に資する中央省庁の移転が継続的に検討されることが望まれる。(政策研究事業本部(大阪) 研究開発第2部 山下 八重子)

■3月のコラム■ 平成27年国勢調査速報値公表 大都市と地方の二極化傾向が鮮明に

 2月26日に平成27年国勢調査結果の速報値が公表された。我が国の人口は、住民基本台帳による人口など関連統計を用いた推移の分析から、実態としては既に人口減に転じていると認識されていたが、最も信頼できる人口統計である国勢調査で調査開始以来はじめて人口減が記録され、我が国が人口減少局面にあることが改めて確認された。
 地域別に見ると、人口が増加しているのは埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、福岡県、沖縄県で、首都圏1都4県と中部圏の中枢拠点である愛知県、九州の中枢拠点である福岡県が増加傾向を継続していることから、大都市と地方との二極化が進展しているという見方ができる。
 ただし、同じ大都市圏でも近畿圏は滋賀県が0.2%と僅かに増加傾向である以外はすべて減少傾向である。また、平成17年から平成22年の増加率と平成22年から平成27年の増加率を比較すると、2.64%から0.12%に低下した千葉県をはじめ、福岡県、沖縄県以外はすべての都府県で増加率が低下しており、大都市圏といえども将来的には減少傾向に転ずる地域が増える可能性は否定できない。
 平成27年国勢調査は今後、6月に抽出速報集計による主要な集計項目、10月に人口等基本集計など、順次より詳細な集計結果が公表される。各地方公共団体においては、その活用により最新の人口動向を分析し、人口ビジョン・総合戦略の進行管理に活用していくことが求められる。(公共経営・地域政策部 大塚 敬)

■2月のコラム■ 地方創生加速化交付金事業の動向

 平成27年度補正予算として、総額1000億円の「地方創生加速化交付金」が計上され、各自治体から申請がなされ、今後3月に交付が確定する見込みである。
 地方創生加速化交付金は、一億総活躍社会の実現に向けた緊急対応となる「希望を生み出す強い経済」、「子育て支援」、「安心につながる社会保障」などが軸となっており、地方版総合戦略に基づく自治体の取組について先駆性、レベルアップを図るものである。
 これに関して、各自治体で事業の委託先が募集され始めている(議会での予算成立および国の採択を条件として)。
 一部を紹介する。愛知県の「愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点運営委託事業」は、プロフェッショナル人材戦略マネージャー等が地域の金融機関等と連携しながら、県下中小企業を訪問し、企業が抱える課題の掘り起こしや、新たなチャレンジに対するサポートをしていくものである(11月コラム参照)。
 大阪府の「平成28年度 おおさか移住促進フェア事業~Osaka Spiky Turn Project~」は、東京圏にて魅力有る大阪の暮らしや仕事などの情報発信を行い、UJIターン就職希望を増やし、大阪への人材環流を目指すものである。
 これらの地方創生加速化交付金のポイントは、"地域の推進力を高める"、"人を育てる"、"投資の活性化"、"雇用の確保"等であるが、今後様々な自治体での取組が進められ、各地域での経済の活性化と雇用増進への流れが期待される。
 これらの事業は、実施するだけには留まらず、その先にある持続的な在り方を目指し、自立してこその成果であり、主体的に取り組まれていくことが必要となる。持続的に進められる事業実施体制の構築こそがゴールである。(政策研究事業本部(名古屋) 研究開発部 内田 克哉)

■1月のコラム■ 公表された新型交付金について

 平成28年度当初予算における新型交付金である「地方創生推進交付金」のしくみが公表された。
 交付金の総額は1,000億円で、申請する事業費の1/2を自治体が拠出する必要がある。申請する事業数、交付額の上限の目安としては、都道府県は5事業まで、1事業あたり2億円であり、市区町村は2事業まで、1事業あたり1億円とされている。また、交付金とは別に、自治体の事業費負担を補てんする1,000億円規模の財政支援制度を総務省がつくることが予定されている。
 新型交付金は大きく3タイプに分けられるが、いずれのタイプの申請においても、事業の先駆的な要素として、①自立性、②官民協働、③地域間連携、④政策間連携などが求められている。また、経費の用途としては、ソフト事業を中心とすることなどの制約もある。
 自治体が新型交付金の交付を受けるには、平成27年度中に策定した地方版総合戦略に基づいて、実施計画としての地域再生計画を作成することが要件となる。全国の多くの自治体で新型交付金の申請に向けた準備が進むことが見込まれるが、申請内容の検討にあたっては、先行型交付金における不採択事業の要因(12月のコラム参照)を分析し、先駆的な事業提案となるように計画を磨き上げることが必要になるだろう。
 自治体が取り組もうとする事業の規模によっては、上限1~2億円の交付金は十分ではない可能性もあるが、これまでにない新たな取組をスタートさせる将来への投資として、有効に活用されることが期待される。(政策研究事業本部(大阪) 研究開発第2部 仲嶋 翼)

■12月のコラム■ 内閣府が地方創生先行型(タイプI)で交付金不採択事業の要因分析結果を公表

 内閣府地方創生推進室は、既に交付対象事業を決定した地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)先駆的事業分(タイプⅠ)の中で特徴的な事例を取り上げ、各事例の優れた点、他自治体の参考となる点を紹介する資料「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)先駆的事業分(タイプⅠ)で特徴的な取組事例」を取りまとめ12月11日に公表した。
 興味深いのは、この資料の中で併せて「不採択事業」が採択されなかった要因分析結果を提示している点である。紹介されているのは、まず採択事業に求められる「先駆性」の評価基準(①政策間連携、②地域間連携、③官民共同、④事業推進主体の形成、⑤政策5原則)のいずれかの項目で明確に不十分とされている点がある事業で、具体的には単独の政策分野の事業に過ぎず分野横断的な広がりがないもの(①政策間連携が不足)、複数の地方公共団体が連名で申請しているにも関わらず各団体の事業を単に箇条書きしているだけで事業内容に連携が見られないもの(②地域間連携が不足)、地域の主体の連携が重要な事業であるにも関わらずその役割や責任の分担が明確でないもの(「③官民協働」が不足)などである。
 しかし、こうしたケース以上に参考にすべきと考えられるのは「事業成果が不明確」とされているケースである。具体的には目標と事業内容が整合していないもの(事業を実施してもKPIが向上しない)、ハード整備に偏重していてそれを有効に機能させるソフト整備が伴っていないもの、支援対象とする産業や組織の重点化がなされていないもの、事業対象のマーケット規模が小さいもの、費用対効果が低いもの、マーケットニーズが十分把握されていないもの、実績や準備状況の記載がなく実現性が明確でないものなどである。今後、地方創生に係る交付金の対象として国の採択を得るためには、ここに列挙した点に留意し、先駆性とともに確実な成果が期待できる具体性と有効性のある実施計画をつくりあげることが求められる。(公共経営・地域政策部 大塚 敬)

■11月のコラム■ 動き出すプロフェッショナル人材戦略拠点

 地方創生の内閣府政策パッケージの目玉事業である「プロフェッショナル人材事業」が本格的に動き出す。この事業は、地方の中小・中堅企業に対して、都市圏の大企業等のプロフェッショナル人材の活用・還流を促すもので、各都道府県に設置されるプロフェッショナル人材戦略拠点が中心となり、企業ニーズ掘り起こしや求人・求職のマッチング支援を行うものである。人事、技術、経営に精通した戦略マネージャーの選任等が進み、11月頃から各都道府県の人材戦略拠点が動き出す見込みだ。
 大都市圏で働く高度人材の地方移住の課題は、能力が発揮できる働き口を、地方で見つけられるかどうかである。良い仕事さえあれば、「地方で働きたい、活躍したい」と考えているキャリア人材は多く存在する。一方、地方企業においてもビジネスのグローバル化、IT化等が進むなかで、高度人材を求めるニーズが高まっている。こうしたそれぞれのニーズをうまく引き出し、有効なマッチングを図っていくことが本政策に期待された役割である。
 地方の中小・中堅企業にとっては、会社のビジネスの未来を託すといった少し"背伸び"をした人材採用が求められている。一方、マネージャーには、事業者に応じた将来性を見通した潜在的高度人材ニーズの発掘と経営者への説得力に期待がかかっている。(政策研究事業本部(名古屋) 研究開発部 永柳 宏)

■10月のコラム■ 各地で「人口ビジョン」「総合戦略」の素案・骨子案の公表進む

 各地域において、地方創生を進めるための基本的な計画である「人口ビジョン」と「地方版総合戦略(以下「総合戦略」)」の策定が進んでいる。「人口ビジョン」は各自治体における人口の現状を分析し、今後の人口の将来展望を提示するものであり、「総合戦略」は「人口ビジョン」を踏まえ、地域の実情に応じた今後5か年の目標や具体的な施策をまとめるものである。国は各自治体に対し、今年度中の策定を求めているが、先行して今年度交付される交付金を申請するためには、10月中に案をまとめることが求められているため、多くの自治体で「素案」や「骨子案」が公表されている。当社が10月23日時点で確認したところでは、20ある政令市のうち14市、45ある中核市のうち27市が素案や骨子案を公表している(公表は刻々と進んでいる段階なので、数え漏れがあった場合はご容赦願いたい)。
 総合戦略については、基本目標と施策について、達成すべき目標を数値で明記するように国は求めている。公表されている案の目標値を見ると、出生数や転入数、従業者数といった統計データを中心に設定している自治体、「『住みつづけたい』と感じている市民の割合」など、意識調査結果を中心に設定している自治体、両者を併用している自治体など様々であり、その目標値も手堅いものから野心的なものまで幅がある。基本目標とその目標数値を見るだけでも、その自治体が重視している分野や、戦略の進行管理に係る姿勢の違いがうかがえて興味深い。
※全国における具体的な基本目標や指標設定の傾向等については、稿を改めてまとまった分析を行う予定。(政策研究事業本部(大阪) 研究開発第2部 沼田壮人)

■9月のコラム■ 地方創生に向けた広域連携の動きがはじまる

 国が示したまち・ひと・しごと創生総合戦略では、基本目標の一つに「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」ことを掲げている。地方が直面する諸課題の解決には、個々の自治体による取組はもちろんであるが、周辺自治体との連携強化が鍵になる。
 現在、そうした地方創生に向けた広域連携の具体例が出てきている。関市、美濃加茂市、各務原市の3市は9月15日に「地方創生・3市広域連携協定書」に調印した。この協定書にもとづき、人口減少の抑制、出産・子育て環境の改善、雇用機会の創出など、地方が直面する様々な課題に対して、3市が連携して取り組んでいくこととされている。それぞれの市の魅力・強みを掛け合わせ、連携して地域課題の解決に効率的に取り組むことが目的である。今後は、新たな産業や雇用の創出、観光資源の活用の分野において、3市が連携して対策を講じていくという。
 これまでの自治体間連携は定住自立圏や中枢都市圏の形成に向けて取り組まれてきたが、こうした動きに加え、今後は新たに策定された地方版総合戦略にもとづき、その施策を推進するために自治体間で連携していく事例が増えていくと考えられる。各地域がそれぞれの課題を効率的・効果的に解決するためには、各市が単独で取り組むのではなく、同じ課題を抱える近隣自治体が連携し、それぞれの強みを活かし、補い合いながら取り組むことが有効である。今後、この3市の事例に見られるような地方創生に向けた広域連携が広まっていくと考えられる。(政策研究事業本部(東京) 公共経営・地域政策部 渡邊倫)

■8月のコラム■ 2016年度 「新型交付金」は昨年度予算を下回る規模

 内閣官房と内閣府は、2016年度から本格化する地方創生の取組の推進を目的に創設する「新型交付金」について、地方自治体への支給額として1080億円を盛りこんだ概算要求を発表した。 新型交付金の支給対象は、地方版総合戦略を今年度中に作成した地方自治体(都道府県および市区町村)であり、複数自治体による連携など、従来の補助金では対応しきれない事業が対象となるとされている。 例えば、重点施策となっている高齢者の地方移住促進は、首都圏の高齢者の急増に伴い、医療・介護サービスに余裕のある地方へ移住してもらうことが目的であり、2016年度よりモデル事業を実施するために必要な受け入れ拠点の整備費などに交付金が使われる。
 また、地域の観光振興を担う組織には、新たな観光ルートの開発、観光関連事業者と自治体の連携による観光振興方策の検討など、運営費や人件費が充当される見込みである。  ただし、1080億円については、前年度補正予算で計上した1700億円を下回る規模である。事業費の半額は地方の負担となることから、自治体には、限られた財源を真に効果の期待出来る施策を見極め、国の支援を適切に活用していく必要がある。(政策研究事業本部(名古屋) 研究開発部 内田克哉)

■7月のコラム■ 「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」が閣議決定

 6月12日の第6回「まち・ひと・しごと創生会議」を経て、6月30日に「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」(以下、「基本方針」)が閣議決定された。この「基本方針」は、「総合戦略」策定より半年を経て、国が今後の対応方向をとりまとめたものである。
 今回の「基本方針」では、16年度予算より新型交付金を創設することが新たに明記されたが、国はこの新型交付金によって、従来の縦割りの構造を超えて自治体の取組を財政的に支援するとしている。 また「基本方針」は、昨年末の国の「総合戦略」に比べて、新出の「ローカル・アベノミクス」に代表されるように、地域に人材と資金を呼び込み地域産業の競争力を高めるといった経済産業政策面を強調する構成となっている。その他にも政策パッケージの再編成・追加が行われており、これによって国が推し進める施策や事業の方向性が一定示されたことになる。 現在、全国の地方自治体で「地方版総合戦略」の策定が進められている。自治体には、地域の特性を踏まえて独自の施策・事業を立案する姿勢が不可欠であるが、今回の「基本方針」に示された方向性を踏まえて、地域に求められる事業の推進に国の支援を上手く活用していくことも重要である。(政策研究事業本部(大阪) 研究開発第2部 仲嶋翼)

■6月のコラム■ 地方創生のアイデア・事業提案を広く募集する自治体が登場

 現在、日本中の都道府県・市町村において、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(地方版総合戦略)」の策定が急ピッチで進められている。この地方版総合戦略の策定にあたっては、地域の多様な主体の意見を反映していくことが求められているが、短期間の策定スケジュールのなかでは、地域の多様な主体の意見を把握することに限界があることも確かである。
 そのような背景もあって、今、多くの自治体が、ホームページ等を通じて地方創生のアイデアや事業提案を広く募集する取り組みを行っている。例えば、長野県の飯綱町では、「若い世代が安心して働くための産業振興と雇用の場をつくる」など、5つのテーマを設定し、テーマごとに住民からアイデアや意見を募集している。この飯綱町のケースでは、「ふとした思いつきも含めて住民が気軽に応募できる」ことが特徴となっているが、これとは異なり、かなり踏み込んだ提案を募集しているケースもある。例えば京都市では、「応募者(団体)が主体的に取り組む、又は取組に関与する意向がある」ことを要件として提案を募集しており、市民主体の取り組みを戦略の中に位置づけていくという方針をとっている。
 このように、多くの自治体が、それぞれ工夫をこらして、市民の意見を取り入れた戦略策定、市民主体(参加)による戦略の実行に向けて取り組んでいる状況であり、その結果としてどのような「地方版総合戦略」が生み出されるのか、今後も注目していきたい。

本件に関するお問い合わせ

お問い合わせはこちらのメールアドレスへ(chihousousei@murc.jp

ページの先頭へ