ブラジル経済の現状と今後の展望 ~ リーマンショックを乗り切り成長軌道へ回帰するブラジル ~
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2010/08/03


○リーマンショック発生後、ブラジルの景気は大幅に減速し、2009年の経済成長率は▲0.2%とマイナスに転落した。これは、中国・インドの堅調さに比べれば大きな失速であったが、ロシア、メキシコ、トルコ等の大幅なマイナス成長に陥った国々に比べれば、底堅い動きであったと言える。ブラジルの景気は足元で急速に回復しており、過熱感さえ出ているほどである。2010年は7%前後の成長率となる見込みである。


○リーマンショック後の景気回復を支えたのは個人消費である。個人消費は、耐久消費財等を中心に堅調に拡大している。消費拡大をもたらしている要因は、低所得層の収入向上や個人向け金融拡大などである。また、2009年の耐久消費財の販売拡大には、自動車に対する工業製品税(IPI)の引き下げも寄与した。


○ブラジルの為替相場や株価を見ると、リーマンショック前後の上昇率・下落率ともに、他の新興国より大きかったことがわかる。ブラジルの金融市場は、グローバル市場の動きに過敏であり、リーマンショックのような動揺が発生すると、他の市場より急激に下落するが、他方、そうした動揺がなければ、急上昇する。これは、グローバル市場の動きに敏感な投機的性格の資金が多く流入している影響と考えられる。


○ブラジルの輸出は、リーマンショック後、海外景気の悪化や一次産品価格下落により、大きく落ち込んだものの、足元では、一次産品価格の再上昇などを受け、急速に拡大している。主力輸出産品である鉄鉱石と大豆は、中国向けを中心に需要拡大が見込まれ、また、ブラジル産品の品質・供給能力が高いことなどから、今後も有望と見られている。


○ブラジル政府は、財政規律確保・変動為替相場制・インフレターゲットを軸とする堅実なマクロ経済運営方針を維持しており、それは、2010年10月の大統領選挙結果によって基本的に変わることがないと見られる。このため、財政金融面からマクロ経済の安定が損なわれるリスクは当面低いと考えてよいだろう。ただ、今後の課題として、他の新興国に比べて整備が遅れているインフラの拡充が必要である。インフラ整備を加速させなければ、ブラジルは、せっかくの成長機会を逸してしまうことになりかねない。


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