加速する日本企業の対ベトナム投資
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2007/02/02


~タイ、中国(華南)を補完する投資先としてのベトナム~


○現在、海外における日系製造業の二大集積地は中国沿海部とタイの2ヵ所である。しかし、近年、日本企業のベトナムへの関心が高まっており、ベトナムが将来的に中国・タイに続く日系製造業の主要な進出先として台頭する可能性が注目されている。


○日本企業のベトナム進出への関心が高まっている背景には、2004年の日越投資協定発効による日系企業の法的安定性向上や、中国一極集中リスクの分散先(チャイナ・プラス・ワン)としての人気、さらには、2007年1月のベトナムWTO加盟による今後の投資環境好転への期待感などがあると考えられる。


○ベトナム進出の最大のメリットは、低コストで質の高い労働力にある。従来、低賃金労働力に依存した低付加価値品生産の一大拠点であった中国では、実質賃金が1990年代後半以降急ピッチで上昇している。このため、外資企業は、中国以外の生産拠点として華南に隣接するベトナムに関心を持ちつつある。


○日系製造業が中国沿海部に次いで重要な生産拠点と考えるのは、物流の不便な中国内陸部ではなくASEANである。したがって、中国沿海部でのビジネス環境が悪化した場合、日系企業の生産シフト先は、タイやベトナムになる可能性が高い。特に、電機電子関連業種は、海外生産の中長期的な着地点としてベトナムを高く評価している。


○ベトナムの投資環境面での課題は、インフラ・法制度の未整備と裾野産業の未発達である。ただし、諸外国や国際機関のODA支援によってインフラ・法制度は改善される方向にある。また、裾野産業の問題も、セットメーカーの生産規模が拡大すれば部品産業の追随進出が増加し改善されていくと予想される。


○短期的に見れば、投資環境がベトナムよりも優位にある中国とタイへの日系企業の進出は当面続くであろう。しかし、中長期的に見れば、中国の人民元高・賃金上昇やタイでの労働者不足などから、労働集約型産業のベトナムへのシフトが進むと考えられる。ベトナムは、中国・タイに取って代わる投資先ではなく、両国を補完する性格の投資先として、東アジアの広域的なものづくりクラスターの一翼を担うと考えられる。


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